テコンドーで不正判定疑惑 中国CCTV映像 恣意的編集か=アジア大会

2010/11/27
更新: 2010/11/27

【大紀元日本11月27日】中国・広州で開かれているアジア大会で16日、テコンドーの女子49キロ以下級の予選で、金メダルの有力候補であった台湾楊淑君選手が反則負けの判定を受け、メダル獲得の機会を逃した。しかし同試合のビデオ映像から、楊選手を失格としたことは誤判定または何らかの意図による不正判定の可能性が浮上している。また、そのような疑惑をはらんだ状況下、中国国営メディアのCCTV(中国中央電視台)が流した関連映像は、楊選手の「反則」を証明するため、映像を恣意的に編集して捏造したものではないかという疑いが強まっている。

問題となった試合の楊選手の対戦相手は、ベトナムの選手だった。かなり実力の差があると見られた通り、楊選手が9対0で圧倒的にリード。しかし試合終了の12秒前、審判団は楊選手が不正な電子ソックスを着用したとして、楊選手を失格とし、反則負けの判定を下した。

テコンドーの試合の採点は、審判の主観的な裁量や、人為的な判定を避けるため、選手はセンサーつきの電子ソックスを装着する。足による攻めで有効打撃があったと認められる時に電子ソックスのセンサーが反応し、自動的に得点を計上する仕組みだ。

電子ソックスに装着する電子センサーの数が増えれば、反応の感度が上がり、得点されやすくなる。そのため世界大会では、電子センサーの数は片足あたり4枚と定めている。一方、旧型の電子ソックスにはセンサーが片足に6枚装着されている。

今回の試合が始まる前、審判団により電子ソックスを含む電子防具の感度チェックが行われた。

台湾メディアの報道映像では、まず審判団が対戦する2人の選手に互いの体を蹴らせて、選手たちの電子防具の感度をチェックした。その際、審判は楊選手の電子ソックスが6枚センサーの旧型ソックスであったため、片足2枚ずつ合計4枚のセンサーを取り外すよう指示した。楊選手はそれに従い、審判が見ている前でコーチのところに行き、4枚の電子センサーを取り外してもらった。台湾メディアの映像では、コーチが楊選手の電子センサーを取り外し、それを椅子の下に置いたことが確認できる。

電子防具のチェックを終えて、問題がないと判断した審判団は、試合の開始を告げた。

試合は楊選手が9対0でリードし、このまま楊選手の勝ちかと思われた。ところが試合終了の12秒前、審判団は突然試合を中断し、楊選手が規定違反の電子ソックスを装着したという理由で失格。楊選手に反則負けの判定を下した。

試合終了後、台湾のコーチは「楊選手が装着した電子ソックスは世界テコンドー連盟(WTF)が認可したメーカーの製品である」と述べ、楊選手に違反はなかったことを涙ながらに訴えた。


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(台湾メディアの関連報道の映像)

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(台湾人ユーザーがアップした関連映像の日本語字幕版)

一方、CCTVの関連報道の映像では、楊選手が6枚のセンサーを装着した電子ソックスで試合に臨み、試合中に審判にばれてから、はじめてコーチのところに行き、2枚(両足で4枚)のセンサーを取り外した、となっている。

CCTVのこの報道映像について、楊選手の「反則」を捏造するため、映像の順番を恣意的に入れ変えて編集したとして、台湾のインターネット上では非難が殺到している。


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(捏造した映像だと非難されている中国CCTVの関連報道)

同事件は、台湾で大きな波紋を呼んでおり、韓国系の審判が不正を働いたとして非難する声が根強く、民族問題までに拡大する勢いとなっている。

この件に関して、台湾政府は記者会見を開くとともに、馬英九総統は「必ず公正な結果を求めていく」と述べた。

馬総統によると、アジア・テコンドー連盟は本件について、すでに非公式に台湾代表団に対して陳謝の意を表しているという。しかし、馬総統はあくまでも公式謝罪を要求し、最後まで戦う意向を明らかにした。

楊淑君選手はアジア大会の同種目の金メダル有力候補であったが、同選手の反則負けにより、期待されていた中国の五輪金メダリスト・呉静_yu_選手との対戦が実現されず、惜しむ声も上がっている。その呉静_yu_選手は今大会で優勝し、金メダルを獲得した。

(翻訳編集・叶子)