【大紀元日本12月22日】韓国の延坪島で韓国軍が20日、実弾射撃演習を行なった。それに対して北朝鮮は同日、韓国軍に反応する価値がないと態度を表明した。これまでの強硬な態度と裏腹の今回の姿勢に、米国の専門家らは、米韓が示した固い決意が北朝鮮の譲歩を引き出したが、今後も、北朝鮮への警戒を緩めてはならないとの見解を示した。
北朝鮮に米韓強い姿勢
11月23日、北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃して韓国側の兵士と民間人4人を死なせた事件が発生した後、米韓両国は大規模な共同軍事演習を行い、北朝鮮に対して強い反撃の姿勢を示した。そのほか、韓国軍は先週、延坪島の周辺地域や、北朝鮮の国境線から数キロ離れた海域で実弾射撃演習を行い、約1500発の砲弾を射撃した。
今後も、北朝鮮のいかなる武力挑発に対しても、米韓両国は国力と陸地戦争の基準に沿って最大の能力を発揮し、「迅速、適切、決定的」な反応を示すと、駐韓国の米軍ウォールタ・シャープ総司令官はこのほど表明した。
一方、米VOA放送によると、演習前には、北朝鮮は強い反応を示すと警告し、核兵器の使用をほのめかしていたが、20日に出された北朝鮮の公告は、「韓国の軍事的挑発」に対して、「その都度反応を示す価値がない」としており、以前宣言していた第2回、第3回の反撃行動は、今後「米国と韓国の本拠地を潰すこと」に使う、と公言した。
北の譲歩は一時的
北朝鮮の今回の譲歩に、米韓両国は警戒を緩めてはならないと、米国VOAの取材を受けた北東アジア問題の専門家2人は見解を示した。
米国平和研究所のシニア研究員ジョン・パーク氏は、「北朝鮮の過去の挑発や、韓国への対応の方式とそのタイミングをみると、次の結論に至るかもしれない。すなわち、北朝鮮の平静な反応は一時的なものであり、数カ月後に報復に出る可能性が考えられる」と述べた。
一方、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のシニア研究員ブルース・クリングナー氏は、今回韓国がみせた決意と米韓両国が示した堅い立場は、北朝鮮の譲歩を引き出せたと評価し、これからも、朝鮮半島の情勢への油断は禁物である、と同様の見解を示した。
ブルース・クリングナー氏は、「北朝鮮はひとつの手で観客の注意力をそらして、もうひとつの手で実行動を起こす。またいつか、一方を攻めると見せかけて他方を攻める可能性がある」と述べた。
背後に北京が関与か
クリングナー氏は、北朝鮮が韓国の実弾射撃演習に反応を示さなかったのは、中国が国連などの国際的な場で北朝鮮を庇護できる土台を作るため、と指摘している。
前述のジョン・パーク氏は、「水面下では様々な動きがある。詳細についてわれわれは知らないだが、それに思索と注目すべき。もし、北朝鮮が本当に中国当局の圧力に応じて即座の報復を行わなかったとしても、その次の問題は、中国当局は見返りとして、北朝鮮にいったい何を約束したのか」と語った。
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