お米が危ない。中国最大の米産地・湖南省の一部の米がカドミウムに汚染されている(大紀元)
【大紀元日本5月23日】次々と起きる中国の食品問題。最近では、最大の米産地・湖南省の一部の米がカドミウムに汚染されていることが明らかになった。カドミウム汚染はイタイイタイ病など深刻な健康被害を引き起こすことで知られている。
カドミウム米が話題になったきっかけは、16日に広州市当局が発表した第1四半期食品サンプル検査の結果だった。それによると、検査した18の米と米製品のサンプルのうち、半数近い8つのサンプルから基準値を超えるカドミウムが検出された。しかしこの時、当局は問題米のブランドや産地情報について、「公表に支障がある」とした。
これに対し国内消費者とメディアが猛反発。翌17日夜、広州市当局は渋々、カドミウム米を使用したレストランや大学食堂など4ヶ所を公表。その中、同市太洋海鮮レストランが使用する米に、国家基準値の2倍となるカドミウムが含まれていた。
米の産地とブランドを依然明かさない当局に、消費者やメディアから引き続き非難の声が殺到。丸一日たった18日夜、とうとう問題米の詳細が公開された。8つのカドミウム米サンプルのうち、6つは湖南省産米で、2つは地元広東省産米。なお、米の流通ルートや流通量などについては、「まだ調査中」だという。
今年2月には、国内紙・南方日報が、広東省深セン市が湖南省から仕入れた1万トン以上の米に、基準値を超える重金属が含まれていると報じた。国有企業・深セン市食糧集団はその中の100万トンだけを返品し、残りはすべて値を下げて市場に流通させたと同紙は伝えている。この報道をめぐって当時、深セン市食糧集団は「一粒の不合格米も市場に流入させていない」と反論していた。
湖南省は中国最大の米産地。しかし近年では非鉄金属の生産・加工基地として名を上げている。広州市の検査でカドミウム超過が明らかになった米は、同省の株洲市と衡陽市からのもの。株洲市は国内有数の重工業都市で、アジア最大の非鉄金属の精錬基地でもある。株洲市周辺の重金属汚染は数年前から問題視されているが、有効な措置が取られていない。また同市は、湖南省最大の川・湘江の中流に位置し、湘江への重金属汚染も危惧されてきた。湘江は、長江と連なる洞庭湖の支流でもある。
重金属汚染問題が解決されないのは、「地方政府が大手国有企業にメスを入れづらいからだ」と国内紙・第一財経日報は指摘する。小手先の対策が講じられても、「汚染の程度を下げるものに過ぎず、数十年来堆積してきた汚染物質を除去できるものではない」という。
一方、今回のカドミウム米問題は湖南省の米農家を困惑させている。「カドミウムの基準値を5割ぐらい上回るのは普通のことだ」。南方都市報が取材した農家はこのように証言し、「昔から知られていること。商売も影響されたことはないし、私達もこの米を食べている」と「今さら」の指摘に首を傾げている。
この「今さら」のカドミウム米問題は、湖南省産米離れを促している。しかし実際、湖南省のみならず、江蘇省や広西チワン族自治区などで生産される米も基準値を超えるカドミウムが含まれることが以前、報道されていた。2011年2月、国内誌・新世紀週刊は、国内で流通している国産米の約1割がカドミウム米である深刻な状況を取り上げていた。
この状況について20日、人民日報は専門家の意見として、「リスクを低減するために、1つの産地の食糧を食べ続けないこと」を提案。汚染問題対策を棚上げに、消費者の自己防衛を促す当局に、「これで全国民がカドミウム米を口にするチャンスを得たのか」とネットユーザーらは呆れ、冷やかした。
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