【大紀元日本4月12日】3日から当局に拘束されている現代美術家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏について、中国国営新華社通信は10日、拘束理由を「脱税」「盗作」と説明する英文記事を発表した。事件の政治色を払拭する狙いがあると見られている。一方で、同日に中国国内71都市で行われた市民運動「中国ジャスミン革命」に対しては、厳重な警備が敷かれた。国内外で高い知名度を持つ艾氏の拘束事件の影響が波及しないよう、当局は躍起になっている。
新華社通信のこの記事は、艾氏を「不可解で、いつも物議をかもし出す三流芸術家」と酷評し、拘束の理由を「脱税」、「盗作」、「芸術資金と資源の独占」と、インターネットの未確認情報を引用して指摘した。記事の大半は同氏の振る舞いや芸術倫理について指摘したもので、政府に批判的な一面について多く言及していない。記事の最後に「近年、メディアでの露出が増え、政府に対する批判も大胆になったが、当局は彼のこれまでの『極端な言論』が法律に触れていると思わない」と今回の身柄拘束が政治問題ではないことを強調した。
同記事は新華社通信の公式サイトにすでに掲載されていない。記事は英文のみで中国語では発表されなかったのも、知名度の高い艾氏の拘束事件の関心が国民の間で高く、影響拡大を抑制する狙いがあるとみられている。
一方、10日と11日に、「艾氏の拘束事件を注目するように」等とインターネット上で呼びかけられた、第8回目となるジャスミン革命が中国71の都市で実行された。デモ参加者が街を「散歩」するこの市民運動は、実行都市も増加し続けており、規模は中国全土に拡大している。ドイツ国営ラジオ局「ドイツの声」によると、当日、北京では、大通りや地下鉄の出入り口などに武装した警察らが警備に当たっており、通行人に職務質問を行うなどして、物々しい雰囲気が漂っていたという。
各都市の大学は、「ジャスミンの散歩活動に参加してはいけない」などと当局から通知を受けており、週末の外出も厳しく制限されている。ある匿名希望の大学生はこの状況を「不可解で恐ろしい。この国はすでに極限に達したような気がする」と話す。
キリスト教徒公義連盟(本部・米国)も先日、中国各地にいる信仰者と芸術家らに対して、ジャスミン革命の集合場所で礼拝活動を行い、艾氏を応援するよう呼びかけた。ジャスミン革命の当日、北京の地下教会「守望教会」の約100人の信仰者らは礼拝時、警察に連行されたという。
同氏の拘束事件に対して、各国政府や国際機関でも釈放を求める声が高まっている。米ヒラリー・クリントン国務長官は8日、同氏の拘束は「法の支配に反する」と批判し、同様に拘束が続く人権活動家らとともに早期に釈放するよう要求した。北京の欧州連合(EU)代表部も5日に、同氏の拘束について懸念を表明している。
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