【大紀元日本5月27日】世界エイズ・結核・マラリア対策基金はこのほど、資金の用途が約束に違反したとして、中国への資金提供を中止する意向を示した。米VOAが報じた。
150カ国が加盟する同基金(Global Fund to Fight AIDS,Tuberculosis and Malaria、本部・スイスジュネーブ)は中国政府との間で、エイズ対策として提供された2億8千300万ドルの35%を民間団体やNGO団体に給付する約束を交わした。しかし、同基金の調査によると、わずか11%の資金がNGO団体に給付されただけで、ほとんどの民間団体が給付対象からはずされているという。
同基金はエイズ撲滅運動に民間団体が重要な役割を果たすと見ている。
同基金は昨年11月にエイズ対策として提供を予定した資金の中止を決定し、中国のずさんな資金管理に懸念を示した。数週間前には、ほかの資金提供も中止する意向を示した。
米在住のエイズ問題活動家・万延海氏は、同基金の資金が中国では腐敗の温床となり、民間団体の買収に使われるなどしており、「中止されるべきだ」と歓迎の姿勢を示している。
NYタイムズはあるエイズ問題活動家の話として、同基金の資金は政府に従う民間団体だけに給付されていると報じた。また、資金の給付を受けるために、架空の団体を作り上げた部門があったという。
新疆ウイグル自治区にあるエイズ患者の権益を守る団体によると、資金の半分は政府幹部と、政府と癒着したNGO団体の幹部に横領されたという。
しかし、GDP世界2位になったにもかかわらず、同基金から巨額の援助を受けることに疑問の声も上がっている。世界保健機関(WHO)の前幹事長補佐でカーネギーメロン大学の周啓康教授は、中国への資金提供は同基金の存亡を脅かしていると指摘し、「経済的な実力のある国に巨額の資金が提供されている事実を寄付者が知れば、寄付する意欲が減退するのではないか」と危惧している。
2003年以来、中国は同基金から5億3千900万ドルの資金援助を受けた。20日に中国政府と協議を行った同基金によると、中国側は不適切に使用された資金を返還する意向を示したという。
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