<赤龍解体記>(17) 米中間のネット戦すでに始まったか

2011/06/06
更新: 2011/06/06

米国の大手検索エンジン・グーグルが最近、中国軍のネット部隊の技術者を育成する基地(中国の済南にある藍翔技術学校)から攻撃されたことを受け、米国はすばやく反応し、クリントン国務長官が2日「事態を重大視している」と強い懸念を表明し、米連邦捜査局(FBI)も捜査を進めると表明した。

 一方、中国は容疑を否認しつつも陰で着々と準備を進めている。

 ■ネット戦が米国の新しい国際戦略

 米ホワイトハウス、国務省、国防省、司法省、商務省、国土安全局は5月16日、共同でネット国際戦略の報告書を発表した。オバマ大統領は、これは米国初のネットに関する計画であり、それを実行するには政府、民間および国際社会の協力が必要だと述べた。

 本報告書では、外国からのサイト攻撃を戦争行為と見なし、米国は武力をもって反撃するとしている。すなわち、ハッカー攻撃によって人員の死亡、重大な損失や公共生活に重大な影響を与えた場合、国防省はそれを戦争行為として、軍事的手段を含め、あるべき措置を施すということである。

 米国防省は、原発そして石油パイプや地下鉄など米国の基礎施設がもしハッカーによる攻撃を受ければそれを戦争行為とし、たとえそれが個人的行為であっても同様である。なぜならば、もし当該国からそれらの関係する情報提供がなければ、個人ではそれを成し遂げることが不可能だからである。

 一方、中国人民解放軍の機関紙「解放軍報」も先月、解放軍は模擬ネット戦争を続け、ウイルスを撒き散らし大量のエラーメールを送る「青軍」と「紅軍」との対戦を行うことによってネット攻撃に備える能力を強めたと報道している。米国と対抗していく姿勢は明らかである。

 中国人民解放軍の軍事科学院研究員・葉征大佐は、最近「中国青年報」で文章を発表し、最近のサイト攻撃や北アフリカ・中東におけるジャスミン革命などは、すべて米国が計画したものだったと仄めかしつつ、解放軍のネット戦に備える正当性をアピールしている。

 

 ■米国に対抗する中共のネット部隊の新動向

 中国ボータルサイト大手「新浪網」の管理者によると、5月末からの1週間の間、中国全国の一部のネットが使用不能となっていたが、それはネット障害などによる技術上の問題ではなく、軍のネット部隊が全国のネットをテストしたためであると述べた。

 テスト項目の一つは、サーバーを攻撃せずに標的のサイトを大規模に止めること、つまりネット上において一部のサイトの機能を失わせ、よってある地域またはある種のサイトの機能を喪失させることである。

 つまり、今回のサイト実験の目的は、非常時に全国のサイトなどに命令を下さず、サーバーを破壊せずに全国のインターネットを止めることである。

 情報源によると、軍の関係部門にはテストをする前に通達されたが、小規模のサイトや外国関係のサイト等は事前に知らされていなかった。

 それまでの1週間の間、北京など多くのサイトが開けられなくなったが、関係の技術部門の調査では原因究明できなかった。事情を知らない人々は、天安門事件22周年を迎えるに当たって、いつものようにサイトが制限されたのだと理解していた。

 証言者によると、グーグルが中国のハッカーから攻撃された事件が今回の実験と関係があったどうかわからないが、軍のネット部隊が米国からの指摘に対してきわめて緊張していることが感じられると語った。

 中国国防省のネット部隊に勤務している友人は、この事件により中米間のネット戦が拡大されていく可能性があり、今はまだ米国と正面から対抗する時期になっていないが、ネット部隊の技術が成熟すれば、その対抗はいつ行われても構わないという。

 新浪網の管理者によると、もし中米間にサイト戦が起きたら、北米にある新浪網も一部の任務を任されるかもしれないと述べた。
 

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 中国問題の専門家「中国事務」編集長の伍凡氏は、新唐人TVの評論番組で、中共の諸矛盾が激化し崩壊寸前なため、「中共がネット戦を以って国内の矛盾を転嫁することに警戒すべき」と指摘している。

 中共の最近の一連の異常な動向からすれば、その可能性は否めないし、米中間のネット戦はすでに起きていると言って差し支えないように思われる。