【大紀元日本6月23日】およそ20年前までは石炭・石油をはじめ資源供給側にたっていた中国だが、現在では世界的な資源輸入大国となった。その動きは「アメリカの裏庭」のラテンアメリカ、カリブ海地域にまで及んでおり、政治主導でもって着実にビジネスを進めている。
6月中旬、国連組織のラテンアメリカ・カリブ海経済連合(ECLAC)が発表した貿易経済レポートによると、中国は、ブラジルとチリでは第1位、コスタリカ、キューバ、ペルー、ベネズエラ、ボリヴィアで第2位の輸出相手国となった。中国は現在、米国・欧州に次ぐラテンアメリカ地域の輸出相手だが、向こう10年内で2位の座に着くとECLACは予想している。
また同レポートによると、中国系企業による同地区への2011年度投資額は、すでに150億ドルを超えた。それは1990年から2009年までの10年間の総投資額の倍にあたる。また、投資分野はエネルギーのみならず、鉱業、農業、インフラ、IT技術にまで及んでいる。
近年の中国政府または企業主導で展開されるプロジェクトの例として次のようなものが挙げられる。ブラジルのスリナムには6億ドルの工業港と高速道路の建設、ドミニカ共和国へは観光用ビーチリゾート地開発に4億6200万ドル、トリニダード・トバゴでは首相官邸と国の演劇鑑賞施設の建設などが「プレゼント」された。
特に大胆なのは先月に建設がスタートした、西半球最大規模とされるバハマでの超大型レジャー施設設置のプロジェクトだ。中国新聞網によると、中国政府系輸出入銀行が27億ドルを投資しているという。開発面積400ヘクタール(東京ドーム約85個分)のこの施設には、カジノ場、会議場のほか、ショッピングモール、テーマパークなどの娯楽施設が建てられ、2014年に完成が予定されている。
6月11日、チリ・サンチアゴにあるECLAC本部で演説した習近平副主席は、「21世紀の第2の10年間は、中国とラテンアメリカ・カリブ海の関係をさらに進展させる新たな機会」と発言し、「中南米地域の各国での我々の動きは、互いの利益を重んじる基本理念を元に、より幅広く、より高みを増すように革新的だ」と述べた。
しかしその「互恵的」な商談を結ぶその影には、中国の「金銭外交」が見え隠れする。昨年4月に中国とFTA(自由貿易協定)を締結したコスタリカだが、2007年6月に台湾との国交を断絶し、中国との関係を樹立した。60年にわたる台湾との関係を破棄した理由には、コスタリカの国債3億ドルの購入が条件として交わされたため、と台湾中央通信社が伝えている。同じく、カリブ海の島国グレナダは2005年、同国国内総生産(GDP)の60%に達する2億4500万ドルもの経済援助を中国に要求したため、台湾に国交を断絶された。
台湾外交部の発表によると2002年から2008年までの過去6年に、中国は少なくとも77億ドルを使って「金銭外交」を推し進め、同国の国交国を奪っていったという。
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