【大紀元日本4月8日】最近公表された中国富裕層の消費需要の調査報告書によると、中国の9割の富裕層が、子供に国外で教育を受けることを希望しているという。
中国の長者番付などを手掛ける民間シンクタンク胡潤研究所と中国興業銀行が3月27日、「2012年中国高所得層消費需要白書」を公表した。それによると、資産が600万元(約7800万円)以上の富裕層の85%、資産が1億元(約13億円)以上の富豪の90%は、子供の外国留学を計画しているという。
中国共産党関連組織の機関紙「中国青年報」の元責任編集者・李大同氏は、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で、このような中国富裕層の心理を分析する。
「多くの民営企業の経営者は、当時の時勢によりあまり教育を受けられなかった。そのため子供には最高の教育を受けさせたい。一部の富豪は、体制の幹部で汚職で富を築いてきた、通称「裸官」と呼ばれる人たちは、資産を国外に移し、逃亡の準備を着々と進めている。子供の海外留学はその一環に過ぎない。一部のエリート出身の実業家は、自身が留学を経験しており、もちろん子供にも海外の空気を吸わせたい。また国の高官たちの子供、例えば薄煕来氏の息子、李肇星氏の息子、万里氏の孫娘など、彼らが海外で受けているのはエリート教育だ」
VOAが報じた2011年の中国の調査データによると、1978年改革開放が始まってから2009年まで、海外留学に出た中国人は162万人に達し、中国に戻ったのはその3分の1にも満たない。
また、中国の入出国協会のデータによれば、2009年度に米国の投資移民を申請した中国人は前年比で倍増し、1000人を超えた。中国招商銀行がかつて発表した報告書によれば、中国の大富豪の74
%は国外移住を望んでいる。
前記の李大同氏はまた、VOAの取材でつぎのように話す。「これらの現象から読み取れるのは、国民は中国の教育と政治の体制に不満を持ち、ひいては国家の未来に希望を持っていない、ということだ。人材と資本の流失を防ぐに最も重要のは、中国を完全な法治国家に変えること。一党独裁の国家ではこれは永遠に不可能だ」
中国問題の専門家、北京理工大学の胡星闘・教授はVOAの取材に応じ、次の見解を示した。「海外で教育を受け、現代文明の洗礼を受けるのは良い事だ。清の後期では、海外留学した有志たちは国にビジネスの理念と人権の観念を持ち帰り、20世紀前半において中国の開放運動を前進させた。現在、中国の現状は経済発展に伴って様々な問題も深刻化している。例えば、重慶市政府が実行してきた打黒運動(マフィアや汚職を取締る運動)は、違法な手段で市民の私財を強制的に押収するというものだった。個人の財産が保護されなければ、人の流失は必然的だ」。
また同氏は「国内の各階層に、現体制に不満を抱く人がたくさんいる。私はこれは良い事だと認識している。人々が普遍的に不満を持っていることは、社会の変革を促す要因となるからだ。中国社会の改善を促すチャンス、変化への兆しであるかもしれない」と述べた。
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