【大紀元日本8月1日】国際通貨基金(IMF)は、20日に発表した中国経済の年次審査報告書において、「人民元が依然として過小評価されている」と指摘し、「インフレと不動産バブル、そして効力が弱まりつつある金融政策は、中国の金融とマクロ経済の安定において脅威となっている。それらのリスクを回避するために、中国政府は人民元を一層に引き上げるべきだ」との見解を示した。
また同報告書は、「人民元は異なる計算方法による過小評価率を3%から最大23%」とし、人民元のさらなる切り上げにより中国経済成長モデルの転換を加速させ、現在(市場における)国有企業の優勢を弱め、より多くの雇用機会を創出できると指摘した。
今回、人民元の過小評価について、IMFの187の加盟国を代表する24人の執行理事はほぼ全員が賛同した。昨年の審査では、理事間で大きく意見が分かれていた。
一方、中国政府は報告書について激しい反発を見せた。中国IMF駐在代理を通じて6ページにも及ぶ声明を発表し、「中国はすでに、人民元為替レート形成メカニズムの改革において、大きな進展を遂げている」とし、また「中国の消費主導型経済モデルの転換が進まないのは、世界金融危機が原因だ。この要因は同時に、新興市場経済の財政と支出構造にマイナス影響を与えた。この外部的な危機は中国の改革、特に人民元改革を大きく阻んでいる」と反論した。
中国は2005年7月21日、人民元をドルペッグ制(固定相場制度)から管理フロート制(管理変動相場制度)に移行してから、今年で6年となる。当局によると、この6年間で人民元は対ドルで約20%上昇したことになるという。
何清漣氏「人民元切り上げの効果は非常に限られている」
在米中国経済学者の何清漣氏によると、欧米諸国は、人民元の切り上げをすれば中国国内のインフレ圧力を減軽させることができる、と考えているという。「しかし、今まで中国政府との間でこれほど困難に満ちた交渉を行ってきた国際社会は、中国政府が人民元を切り上げても、その切り上げ幅は国際社会が望む幅と遥かな差があると知っているはずだ」と示した。
何氏は「遅れてきたインフレ抑制の薬―人民元切り上げ」と題する評論文において、「生産資源、生活資源及び労働力コストが全面的に高騰している状況の中で、人民元切り上げのインフレ抑制としての効力は予想よりもはるかに弱い。今、直ちに切り上げれば、せいぜい今後外貨準備高の急増によってもたらされる、国内のマネーサプライの規模拡大を抑制する程度のことはできるが、切り上げ幅が少ないため、マネーサプライの規模縮小及びインフレ抑制の効果は限定的となり、結局、物価急騰を抑える効果は低い一方、輸出も抑えられてしまう」と指摘した。
中国は経済崩壊に直面する
米国独立アジア経済専門家のジョナサン・ガラヴィズ(Jonanthan Galaviz)氏は大紀元の取材に対して、人民元切り上げによるインフレ抑制効果は期待できない、と述べた。
「中国を含むアジアの一部の国は、向こう3年間において、経済崩壊の危機に直面するだろう。なぜなら、これらの地域で築いてきた富は、大量に紙幣を印刷し、または実体経済に必要のないインフラ設備への投資によるものだからだ。中国経済は健康な経済体系ではなく、正常な経済成長を遂げていない」と、中国のインフレの根本原因を指摘し、「不自然な経済成長で現在、経済崩壊のリスクが高まっている」と述べた。
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