【大紀元日本9月1日】8月30日、国際環境保護団体グリーンピースは北京で記者会見を開き、雲南省曲靖市陸良県で発生した六価クロム不法投棄事件による汚染問題の調査結果を発表した。
調査のため化学工場付近にある地下水取水口から採ったサンプルからは基準値の242倍の六価クロムが検出。周辺の水田からは126倍、付近に六価クロムが廃棄された南盤江からは中国水質の最低等級の2倍の六価クロムが検出された。このような深刻な汚染状況にもかかわらず、現地住民らは依然として作物の植え付けや汚染された水を使った灌漑をおこなっていることから、これらの作物を摂取した場合の市民らの健康が危惧される。
グリーンピースチャイナの馬天傑主任は会見で、先日報道された「14万トンの六価クロムが南盤江付近に不法投棄された」ことは事実だと認めた。現地環境保護局の統計によると、問題の陸良化工実業有限公司は現在までに、およそ14万トンの六価クロムを南盤江のそばの堆積場に廃棄してきたが、防雨、漏洩防止、飛散防止は基本的にされておらず、堆積場と南盤江の距離は非常に近いという。
2010年『中国環境状況公報』によると、同年末の時点で100万トン以上のクロム廃物が12の省に堆積されている。これに対しグリーンピースは環境保護部門にクロム廃物が周辺環境に及ぼす影響や地下水の汚染の有無についての評価を行い、人々がクロム汚染にさらされる機会を減らすことを呼び掛けた。
グリーンピースはまた、当局にクロム廃物の汚染管理作業の詳しい状況の公開や民間の監督を受けることを要求している。この他に、全国の重金属汚染の予防対策作業は社会に対し十分な情報公開をすべきと指摘している。
一方、貴州省環境保護庁がウェブサイトに、今年5月末、少なくとも50トンのクロム廃物が雲南省曲靖市から貴州省興義市内に運ばれ、大部分が道路建設に使用されたと発表。付近には飲用水源はないが農業用地である。環境庁は関連企業にクロム廃物で汚染された土壌を雲南省に戻すよう命じており、その総数は270トン余りだという。
六価クロムは無味無臭で発ガン性があり、身体に与えるダメージは大きい。傷ついた皮膚に触れれば接触性皮膚炎を起こし、誤食すると嘔吐や強い腹痛、肝臓肥大を起こし、ひどい場合は死に至る。また、六価クロムの化合物を吸い込むと肺がんを起こす可能性がある。