中国4大国有銀行の預金高、半月で4200億元激減

2011/10/06
更新: 2011/10/06

【大紀元日本10月6日】中国4大国有銀行、工商・農業・中国人民・建設の預金高が9月15日時点で、8月末と比較して4200億元も減少した。中国マスコミ報道により判明。これに対して専門家はさまざまな意見を述べている。

中国農業銀行のエコノミストで、著名な経済学者の何志成氏は中国紙・毎日経済新聞で、これほどの急激な減少は過去に例がないと指摘し、国内金融市場に警鐘を鳴らしたと警告。同氏によると、4大銀行以外の銀行も含め、全国での減少規模は6000億元を超えているとし、短期間にこれほど激減したことは、「金融引き締めによる企業の資金繰りの悪化」によるものだと分析した。

一方、現在の中国国有銀行の年利が3%であるのに対し、6%以上のインフレが続いている。この状況で銀行に預金すると損失となる。それに対し、民間貸借市場のリターン率は国有銀行よりはるかに高いため、多くの個人預金を引きつけるようになった。

この点に着目した中国広州求心経済研究所の党愛民主任は、ラジオ自由アジア(RFA)に対し、4200億元に上る預金高の激減は、 実質上、負である銀行利子率と、政府の引き締め政策の2重の圧力下における新たな投資動向を現していると分析。「貨幣引き締め政策を実施すると、利子率が上昇する。利子率が上昇すると、融資ルートが少なくなり、中小企業は民間に融資を求めるようになる。これを受けて民間の利子率が上昇し、国民の預金が流入する。この資金の管理は難しく、闇市場の出現につながる」という。

中国経済学者・易憲容氏は上海証券報に評論を寄せ、「中国の民間貸借市場の活発度はすでに限界状態にある。大量の民間資金投資で、元金を失う可能性が高い。そうなると、連鎖的な金融危機を引き起こしかねない」と懸念した。この異常な状況は、中国の「金融システムの欠陥」に起因するもので、政府の厳しい管理が裏目に出たと易氏はみている。

(編集・張凛音)