【大紀元日本10月12日】入国ビザが交付されず、アフリカ訪問が実現しなかったチベットの最高指導者ダライ・ラマ14世は8日、テレビ電話を通じて、南アフリカ のツツ大司教と会談した。14世は、「13億の中国人には真相を知る権利があり、状況を正しく把握した上で自らの判断を下す権利がある」などと述べた。
ツツ大司教は現地時間7日、80歳の誕生日祝典を開き、ダライ・ラマ14世も招待されていた。ところが、南アフリカ政府から入国ビザが交付されなかったため、出席できなかった。
それについて、同大司教は、南アフリカ政府は中国当局の圧力に屈して、ダライ・ラマ14世の入国を拒否したと強く非難した。
インドのダラムサラに留まっているダライ・ラマ14世は同テレビ電話で、大司教に誕生日祝福のメッセージを送り、南アフリカの政府系テレビ局はその会談の全容を生中継し、インターネットで再放送した。
14世は、「中国の13億の国民には現実の真相を知る権利がある。それによって13億人は初めて是非を判断できる」と述べた。また、中国政府は真相を明らかにする人々を「嫌っている」とし、自分は中国政府から「悪魔」と言われていると冗談めかして話し、「虚言は中国の独裁体制の一部分と化している」と語った。
また、14世は、「互いの尊重と信頼は非常に重要である。そのため、メディア報道の透明度はアップしなければならない」とも話した。
ツツ大司教は南アフリカの和平運動家で、人種隔離政策の撤廃を積極的に進めていた。後にその功績が評価されて、1984年ノーベル平和賞を受賞、南アフリカの良識とも讃えられている。一方、ダライ・ラマ14世も1989年にノーベル平和賞を受賞。
AFP通信の報道によると、ダライ・ラマ14世の支持者たちは南アフリカ議会の所在地で抗議を行い、南アフリカ政府は中国当局に「土下座した」と非難した。
ダライ・ラマ14世は今週出版するツツ大司教に関する新書で次のように評している。「中国政府は恐らく、ツツ大司教が欧米の反中国勢力に利用されていると言いたいところだろう。これまで同様の言葉で欧米の非難をかわしてきたが、そのやり方はツツ大司教のケースには使えないのではないか」