【大紀元日本11月5日】米国議会が最近公表した中国の人権報告書は、中国の発展に絡む問題について次のように警鐘を鳴らした。「なぜ中国経済は著しく発展し、国際舞台での地位は上昇し続けているのに、人権状況は広範で悪化しているのか」。
米国議会の行政機関である中国問題執行委員会は今年度の中国人権報告書をまとめた。同委員会の委員長でニュージャージー州出身の共和党クリス・スミス議員は3日の下院外交関係委員会の公聴会で、「この第10年度目の報告書がまとめた中国の現在の人権状況を非常に憂慮している」と述べた。同議員いわく、中国最高指導部は人権問題について、ますます独断的になっており、国際社会からの批判に反応すらしなくなり、自分たちを正当化している、という。
経済の自由化は改革をもたらしていない
下院外交委員会議長でフロリダ州出身の共和党イレアナ・ロス・レーチネン議員は、中国はWTOに加入して10数年間が経つが、経済の自由化は改革を導いていないと懸念を示した。
同議員は、「中国政府は人権弁護士を逮捕し、その所在すら公表しない。また、法輪功学習者を迫害・拷問している。絶望に陥ったチベット僧侶は相次ぎ焼身自殺を図っている。東北部の国境地帯では中国政府は北朝鮮難民を拿捕し強制送還している。このような政権は野蛮としか言いようがない」と述べた。
宗教への弾圧はさらに強硬
同公聴会で証言した人権活動家たちは、中国の人権状況は多方面において悪化していると指摘した。
キリスト教支援団体「対華援助協会」の代表・付希秋牧師は、「中国政府は宗教に対して、ますます強硬な立場を取っている」と証言した。
迫害されているのはキリスト教だけではない、チベット僧侶の境遇も非常に深刻だ。3日には新たに1人のチベット尼僧が焼身自殺を図った。今年中に宗教自由を求めて焼身自殺したチベット人僧侶はこれで11人に達した。また、中国の監禁施設には大勢の法輪功学習者が「真善忍」の信仰を放棄しないため拷問を受けている。12年間及ぶ弾圧で3400人以上の死亡が判明した。
国家安全危害の罪を濫用して政治異見者を弾圧
米中対話基金の代表で人権活動家のジョン・キャム氏は、中国政府の統計データを引用して、去年1年間に1000人以上はいわゆる国家安全危害の罪で逮捕され、起訴されていると述べている。「中国政府は常にこの罪を濫用して政治異見者を弾圧している」と同氏は証言した。
キャム氏によると、ここ三年間において、毎年この罪状での逮捕者は千人を超えている。「その内の75%~80%は言論と集会を起因とする案件であり、往々にして長期の懲役刑が処される。しかも、無罪釈放される人はいままで1人もいなかった」という。
インターネットへの監視・コントロール強化
米議会中国委員会が作成した同報告書は、中国政府によるインターネットへの管制をも言及し、次のことに触れた。
今年5月には、専門機関「国家インターネット情報弁公室」を設立して、ネット監視を一層強化している。また、最近では当局はインターネットと交友サイトへのコントロールを強化する計画を公表したばかりだ。
中国社会科学院の報告書によると、中国のウェプサイトは去年までに41%減の191万個までに減少した。この報告書によると、ウェプサイトの減少はネットへの監視強化は原因ではないとしている。
VOAは、「2012年の次世代政権交代を着々と進める中、中国政府の広範に渡る人権制圧は非難されており、日々深刻化する社会的対立を招いている」と評した。
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