【大紀元日本12月5日】11月29日、中国政府は貧困基準を年収2300元(約2万8000円)に引き上げた。この数字は引き上げ前より92%増である。貧困ライン引き上げ後、中国の貧困ライン以下の人口が2700万人から総人口の10%を占める1億2800万人に増加した。ドイツ国家放送ドイチェ・ヴェレが伝えた。
これについてドイツのIFO経済研究所のアジア事務専門家ドリス・フィッシャー博士は、近年、中国の生活費の上昇率が非常に大きく、特にここ1、2年の物価高騰が低所得者の生活に深刻な影響を及ぼしていることから、このような調整を打ち出すことは必要であり、現実とかけ離れた旧データから現実の足並みに近付くものと考えている。
途上国でいたい中国
フィッシャー博士は中国政府がこのような措置を行った動機を次のように述べた。貧困ライン引き上げ後、国民の1割が貧困人口となるため、中国は依然として途上国であると主張できる。中国は途上国家のスポークスマンとして世界の政治舞台でその力を発揮できることを望んでおり、先日インド、ブラジル、南アおよび発展途上国を代表する77カ国グループと連合し、先進国にCO2排出削減を承諾させる議案提出を発表している。
経済力をアピール
もう一つの動機として、能力の向上を示すことを博士はあげている。中国の経済力が大きく成長した後、貧困人口を救済する能力も強くなったと国際社会にアピールしている。「貧困ラインは国家救済基準の目安である。中国政府は、今までより多くの貧困人口を扶助できると考えている。これは必要な一歩であり、社会安定の促進でも、国内消費の奨励であってもいずれにしても有益な事だ」
中国が新たに定めた貧困基準は米ドルに換算すると毎年の収入が一人あたり約361ドル。依然として国連の基準である1日1.25米ドルより低いものの、基準に大きく近付いていることは確かだ。
時代、国が違えば貧困ラインも違う
2008年以前、中国では最低限のカロリー摂取を確保する金額を貧困ラインの基準とした。その後、収入による判断基準が用いられるようになった。貧困ラインは生命を維持する食物の最低需要から、社会の安定を保障するために必要な最低収入ラインへと変わった。
この基準に照らし合わせると、2010年米国の貧困人口は総人口の15%を占めており、4人家族を例にすると、年収入が2万2314ドルならば生活費は一人あたり1日約15ドルの計算になり貧困人口となる。
経済協力開発機構(OECD)の貧困に対する定義は等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)が全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない相対的貧困率である。
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