マイク・ポンペオ米国務長官は1月13日、カリフォルニア州サンフランシスコで行った2つの演説のなかで、米国が中国、ロシア、イランなど敵対国に対抗するための抑止力の回復について語った。また、シリコンバレーのハイテク企業の幹部が、中国とビジネスをしても米国の価値を犠牲にしないよう注意を促した。
長官はスタンフォード大学のフーバー研究所で「抑止力の回復:イランの事例」と題した演説を行った。長官は、革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官の殺害は、ワシントンが敵対国に挑戦するために取った、広範な抑止戦略の一環であり、「トランプ大統領と国家安全保障チームは、イランに対する真の抑止力を再構築している」と強調した。
トランプ米大統領は2018年、2015年のイラン核合意を撤回して再び制裁を加えることで、イランの経済に打撃を与えた。
ポンペオ長官はさらに、抑止戦略の対象はイランだけでなく、中国やロシアも含まれると述べた。「どんな場合でも、私たちは自由を守るために敵を阻止しなければならない。これは、米軍を最強にするためのトランプ大統領の取り組みの核心だ」
ポンペオ長官はまた、中国による南シナ海の軍事化に対抗するため南シナ海での米海軍の演習が増加していることや、トランプ政権による中国製輸入品への関税賦課も、米政府の中国抑止戦略の一環であると語った。
「抑止力への信頼は回復しつつある」と長官は付け加えた。
その後、ポンペオ氏は、カリフォルニア州シリコンバレーのコモンウェルスクラブで「技術と中国安全保障の挑戦」と題した演説を行い、米企業が中国とビジネスする際には、国家安全保障に危害を及ぼす可能性があると忠告した。また、利益のためにアメリカの価値観を犠牲にしたり、アメリカの自由を破壊したりしないよう呼びかけた。
長官によると、中国に投資するシリコンバレーの企業幹部には、中国政府に「米国の自由をむしばむ」技術が渡るリスクがあるという。
「私たちの最も革新的な企業の多くが中国政府や中国政府と関係する企業と提携していることを考えると、これは本当に問題だ」 とポンペオ氏は危機感をあらわにした。
2019年、中国の技術による脅威を国際外交の中心テーマとしてきたポンペオ長官は、拡大する米ハイテク大手企業と米政府との亀裂を埋めるため、世界的にも大手ITが集中するカリフォルニア州に警告を発した格好だ。
長官は講演のなかで、「たとえ中国共産党が『あなたの技術は平和的な利用に限定される』と保証したとしても、米国の国家安全保障にとって巨大なリスクを生むことを知るべきだ」と語った。
グーグルはここ数年、上海に人工知能センターを開設するいっぽう、米国防総省との開発プロジェクトを中止しており、議員や関係者からは批判を浴びている。こうした動きは、米国企業が知らず知らずのうちに、中国当局の国内弾圧と外国での諜報活動に使える技術を与え、前例のないハイテク監視国家を築くことを手助けしているのではないかと懸念されている。
「あなたの仕事は株主のために金を稼ぐことだと分かっている。しかし、自由国家の市民として、米国人としての皆さん一人一人に念を押しておきたい。あなたのビジネスと創造の自由を損なうかもしれない、中国のリスクがますます高まっているということだ。これは大袈裟な話ではない。脅しでもない。私たち全員が気付くべきだ」
(翻訳編集・李沐恩)
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