【大紀元日本4月19日】中国国内製薬メーカーの薬剤カプセルから、最大で安全基準の90倍の量の有毒物質クロムが検出された。中国国内メディアの報道によると、工業用ゼラチンがカプセルの原材料として使われているのが原因だという。
中国国内メディア15日の報道によると、問題の工業用ゼラチンを生産したのは河北省阜城県学洋明膠蛋白工場。皮革の廃材に石灰を入れて、工業用ゼラチンを精錬している。中国の薬用カプセルの主要生産地である浙江省新昌県の多くのメーカーが同ゼラチンを仕入れて、カプセルを製造していることも判明した
現地のカプセルの年間総生産量は1000億粒、中国国内市場の3分の1を占めている。
同工場は昨年一年間で、1000トン以上の工業用ゼラチンを生産。その大半は浙江省新昌県のカプセル製造メーカーに流れたとも報じられた。
報道が出された当日、同工場で火災が発生した。公安当局が調べた結果、工場の役員が証拠隠滅のために故意に火をつけたのが原因だった。
また、中国国営テレビCCTVの報道によると、業界大手の四川蜀中製薬所のほか、通化金馬、修正薬業、海外製薬など製薬メーカー9社の計13種類のカプセル剤からこの有毒ゼラチンが検出された。これらの薬剤は北京や江西、吉林、青海などの各地で販売されている。
業界関係者は問題のメーカーはこの9社に留まらないとも指摘している。
クロムは強い毒性を持つ重金属であり、人体の細胞に吸収されやすいという特徴を持つ。肝臓や、腎臓などを害し、発がん性もある。
薬剤カプセルの原材料は食用ゼラチンである。通常、動物の皮や骨から精錬されるもので、その売値は工業用ゼラチンの倍だという。
遼寧省の某製薬メーカーの技術責任者は大紀元時報の取材で次のように匿名で証言している。「業界では、クロムが安全基準値を超えることはごく一般的なこと。消費者が知らないだけだ。政府機関の管理・監督責任が果たされていないことが原因」。同氏は、工業用ゼラチンはヨーグルトやこんにゃくゼリーにも違法使用されていることも語った。
この事実を裏付ける証言はほかにも寄せられている。
問題となっている工場の地元住民の証言によると、多くの住民は皮革工場から廃棄される皮革を買い取り、ゼラチンを製造し、キャンディを製造する食品業者に卸している。毎月、現地政府の関係者に一定額のお金を渡せば、取締りに遭うことはまずない。メディアの報道で問題になる度に、現地政府は一旦取締りを行うが、事態が沈静化すると、再び操業は再開されるという。
2004年にも、中国国内メディアの報道により、工業用ゼラチンを違法生産する現地の闇工場の存在が明らかになっていた。
あるネットユーザーはマイクロブログで「三鹿のメラミン混入の粉ミルク、地溝油、今度は、廃棄の皮革から作られた風邪薬。私はいつの日かスーパーマンになるために鍛えられているのか」と皮肉った。