中国河北省承徳市の石炭工場(mediko83/flickr)
【大紀元日本7月14日】中国経済の成長減速が鮮明化するつれ、内需激減により国内石炭価格が急落している。7月9日付南方都市報によると、今年に入ってから国内石炭価格の主要指標である環渤海動力煤価格が急落している。昨年年末時の1トン当たり863元から7月11日現在1トン当たり652元に下落し、下落率は約24%に達した。また、5月初めの1トン当たり785元から約10週間連続下落しているという。
石炭価格急落の主因は国内経済成長の失速で、生産活動が停滞し電力需要が大幅に落ち込んでいることにある。生産活動水準を示す鉱工業生産指数の伸び率は低下し続けており、4月には3年ぶりの低水準である9.3%増を付けた。5月には9.6%増と少し戻したが、いずれもこれまで続いてきた10%台を下回っている。
また、6月13日に開催された2012年全国夏季電力使用ピーク時に関する記者会見において、国家開発改革委員会経済運用調節局の魯俊岭氏は、「今年1~5月の全国電力使用量は1兆9600億キロワットに達し、前年同期比で5.8%増となった。しかし、伸び率としては昨年同期の12.05%増から6.25%も低下した」「1~5月のサービス業をはじめとする第3産業と国民生活の電力使用量は引き続き増加しているが、製造業をはじめとする第2産業の電力使用量の前年同期比の伸び率は3.8%増と、昨年同期の11.7%増から大幅に低下した。第2産業の電力使用量の激減で同期全国電力使用量の伸び率が約6%押し下げられた」と発表した。
電力使用量の大幅な減少で、電力会社の石炭在庫が急増しただけではなく、各地の石炭取り扱い港では石炭在庫も急増している。国内報道によると、河北省にある中国最大の石炭取り扱い港である秦皇島港の石炭在庫は6月中旬時点で約940万トンに達し、2008年世界金融危機発生直後の水準を超えた。また秦皇島港を含む石炭輸送用港である環渤海の4つの主要港(秦皇島港、唐山曹妃甸港、唐山京唐港区および天津港)の石炭在庫は2000万トンを上回り、史上最高水準を記録した。石炭企業が最も集中する広東省の広州港の在庫も280万トンと高水準を推移している。
石炭価格の急落で中国の石炭企業は巨額な損失を被ることになった。今年初め国内の多くの石炭企業は、今年の石炭価格は依然として高水準に推移していくだろうと予測していた。そのため、石炭企業の多くは4月17日、18日に開催された中国国際石炭大会において、国内およびオーストラリアなどの主要石炭供給企業と石炭の仕入契約を結んだ。
南方都市報によると、1件の契約につき、石炭仕入量は約100万トン~200万トンとなっている。しかし、同大会閉幕直後、国内だけではなく、海外の石炭価格が急落し始めた。アジアの発電用石炭価格の指標であるオーストラリア・ニューカッスル港の石炭価格は同大会の開催期間中、1トン当たり125ドルだったのが、大会閉幕直後には1トン当たり122ドルに下落した。6月末にはニューカッスル港の石炭価格は1トン当たり約90ドルまで下落し、下落率は26%に達した。価格の急落で、石炭企業は巨額な損失を被った。広東省のある石炭企業の担当者によると、広東省の中で価格急落による損失額が1億元を超えた企業が10社以上もあるという。
石炭価格の続落を懸念する石炭企業は、すでに仕入れた石炭を低価格で転売したり、また一部の企業は巨額な損失を避けるため契約を破棄するなどの非常策を講じている。しかし多くの企業は国内港石炭価格の急落を理由に、海外石炭供給先に対し、しばらく石炭を納品しないようにと要請している。また業界関係者は、価格急落で経営が難しくなり倒産に追い込まれる中小石炭関連会社が今後続々と現れるだろうと予測している。
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