[ロンドン 27日 ロイター] – トルコでは家計の貯蓄がドルへ移行して企業は外貨建て債務の借り換えに苦戦する中、過去1年間にわたり繰り返されたリラ相場を押し上げる試みにより、外貨準備高が危機的な低水準となっている。
中央銀行の外貨準備高が減少したことで、トルコの(1)国際収支(2)外貨建て債務を繰り越す能力(3)必要な場合に緊急の資金をどのように、どこから調達するか──を巡って疑念が生じている。
こうした中、外貨に対する国内の根強い需要が、過去10年間で最悪の景気後退に見舞われた同国の財政とリラ相場を管理する力量を測る決定的な尺度となっている。
先週公表されたデータによると、トルコ中銀の外貨準備高は15日までの1週間で約30億ドル減少して737億8000万ドルとなった。一方でトルコの個人が保有する外貨建ての預金およびファンドの総額は1057億4000万ドルと過去最高を更新した。
GAMの投資ディレクター、ポール・マクナマラ氏は「トルコほど外貨準備高の水準が低い国はほとんどない」と指摘。「準備高がこれほどの水準に減少した状況では、過ちを犯せる余地は皆無に等しく、信頼感は失われ、これに対処する必要がある」と述べた。
またコメルツ銀行の外国為替・新興国市場調査部門を率いるウルリッヒ・ロイヒトマン氏は外貨準備高の統計について「中銀が市場を介さずに経済の一部に外貨準備を供給していることを示すシグナルだ」と指摘。「外為相場が問題視され、中銀が経済政策に介入していることも示している。それは本来、すべきことではない」と語った。
国際通貨基金(IMF)によると、2018年末時点でトルコの短期債務に対する準備高の比率は50%強だった。IMFは準備高が十分となる同比率を100%としている。
また外国からの資金流入がすべて停止した場合に輸入を継続できる期間は、南アフリカが6カ月強、ロシアが1年半であるのに対し、トルコは約4カ月となっている。
こうした状況下、国民のドル、金、その他の安全資産の保有高が記録的水準に増えたことから読み取れる政策当局者への不信感が、市場の不安を高めている。
ブルーベイ・アセット・マネジメントのシニア新興国市場ストラテジスト、ティム・アッシュ氏は「ドル化が懸念されている。これを主導しているのは外国人ではく国内勢だ」と話した。
(Karin Strohecker記者)
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