【大紀元日本9月18日】中国政府系シンクタンク・中国社会科学院のエコノミスト劉イク輝氏は17日、中国の地方政府債務はわずか2年で倍増し、2012年末で、20兆元(約320兆円)に達した可能性があるとの見方を示した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。
中国社会科学院の金融研究所で主任を務め、華泰証券の首席エコノミストの劉氏は、ダウ・ジョーンズ経済通信の取材を受けた際にこのように語った。国家審計署(会計検査院に相当)が発表したデータによると、中国の地方政府債務は2010年末時点で10兆7200億元。しかし、それからの2年間で「政府全体の債務水準が著しく上昇した」と劉氏は指摘し、倍の20兆元に膨らんだと試算した。
一方、米国の中国問題専門家ゴードン・チャン氏は中国の債務残高の対国内総生産(GDP)比率は、JPモルガンが示した187%をさらに上回るとみている。氏は米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に「1つに、中国の債務残高はアナリストの分析より高い。もう1つは、中国の経済規模は当局の発表より少なくとも1兆元少ない」と述べ、債務残高の対GDP比は実際、200%を超えるとの見解を示した。
2008年、中国政府は金融危機への対応として、4兆元の景気刺激策を打ち出した。米シンクタンク・カーネギー国際平和財団の上級研究員で、世界銀行元中国担当局長の黄育川氏はこれについて「適度な刺激策や融資拡大は問題ない。ただ、度が過ぎると不都合が生じる。これはいま中国が直面している問題だ」とVOAに話した。
黄氏は、中国の国家予算が少ないのが大きな問題だとの認識を示した。米国の国家予算はGDPの40%になるが、中国は28%。「これは大きな問題だ。(国家レベルに)見合った大型プロジェクトの費用は国家予算から支払われるべきだ」と指摘した。
11日、李克強首相が大連市で開かれた夏季ダボス会議で、地方政府債務について「我々は手を打っており、秩序よく規範化し解消していく。全体的には安全で制御可能だと自信をもって言える」と語った。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルは、劉氏もほかのエコノミストも李首相の判断を疑問視していると報じた。地方政府が債務返済不能になった場合は中央政府が救済するとの見方が広がっていることが問題だと劉氏は指摘。それによって、地方政府は借り入れを抑えようとする意識が低く、「潜在的なリスクが現実のものとなる恐れがある」と警告した。
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