【大紀元日本1月10日】7~8日に行われた中央政法工作会議で、習近平国家主席は「断固たる意志と行動で政法委部門の腐敗現象を取り除き、集団に害を及ぼす者を断固として排除する」と発言した。同会議は公安・司法を主管する中央政法委員会の重要会議で、国家主席の出席は17年ぶり。
「集団に害を及ぼす者」を明言していないが、同部門の前トップである周永康氏とその後ろ盾である江沢民勢力を指しているとの見方が強い。周氏が在任中、国内治安維持の名目で多額の国家予算を手に入れ、同部門を経済的にも軍事的にも独自で支配する「独立王国」に仕立て上げた。さらに無期懲役が確定した薄熙来元重慶市共産党委書記と共謀して、政変を画策していたと報じられていた。同氏は現在、汚職などで調査を受けていると取りざたされているが、習体制は発表のタイミングを窺っているもよう。
さらに、同会議がこれまでの「全国」政法工作会議から「中央」政法工作会議へと格上げされ、習主席が自ら同部門を掌握する意思表明とみられている。中国国家行政学院の汪玉凯教授は香港紙・明報の取材で、「さらに大きな腐敗取締り運動が展開される可能性がある」と述べ、周氏を上回る大物幹部に追及が及ぶ可能性が出ている。
江沢民一派への包囲網が狭まる中、中国の富豪・陳光標氏は7日、米ニューヨークで13年前の天安門焼身自殺の被害者(女性)2人に整形手術の費用を提供すると表明した。中国政府はこの事件が法輪功学習者によって起こされたものとしているが、法輪功側は中国中央テレビの事件映像を分析し、10数箇所の疑点を指摘するなど関与を全面否定している。
事件後、生存の被害者はいずれも政府によって厳しく監視され、所在は明かされていなかった。米在住の中国問題専門家・章天亮氏は「陳氏が女性2人と接触できたのは法輪功弾圧を推し進めてきた江沢民派の高官からの助力があったのではないか」と背後に江沢民派の影が見え隠れしているとの見方を示した。
習主席が同部門の掌握を宣言したこの時期に、法輪功問題が再び表舞台に出たのは江沢民派による反撃だと章氏は見ている。法輪功取締りの実行部隊「610弁功室」の責任者である李東生氏の失脚、周氏の調査が確実視されるなか、法輪功弾圧で一蓮托生の江沢民派は総崩れを避けるため、この問題を持ち出して生き延びる道を探ろうとしているが、章氏は「これはかえって江沢民派の窮地を物語ることになった」と分析した。