【大紀元日本4月18日】中国共産党の中央規律検査委員会は17日、巨大国有企業、華潤集団の宋林会長を「重大な党紀違反」の疑いで調査していると発表した。宋会長は2010年に実施した買収案件に絡んで数十億元(数百億円)の国有資産を流出させたとして、国営新華社の記者らによって昨年、複数回にわたり実名告発されていた。華潤集団は太子党(高官子弟のグループ)を多数採用していることから、今回の調査について香港紙・東方日報は太子党が新たな反腐敗のターゲットにされ、「新たな権力闘争の前哨戦」と指摘した。
国営新華社通信傘下の経済紙・経済参考報の王文志記者は15日、自身の短文投稿サイト「微博」で宋会長が「愛人を通じて収賄や資金洗浄を行っている」と書き込み、さらに海外に10数億元以上の資産を持ち、北京、上海、香港など各地で多数の不動産を所有していると告発した。証拠として愛人との2ショット写真が同時に掲載された。
王記者は山西晩報の元記者・李建軍氏とともに昨年7月にも、2010年に宋会長の指示で華潤集団傘下の電力企業が山西省の民営企業金業集団から不当な高値で炭鉱を取得し、数十億元の国有資産を流出させたとして告発していた。
李建軍氏は昨年8月、英BBCに対して「2012年、ある高官が宋会長の不正を調査するよう上層部に求め、温家宝首相(当時)もこれを許可した。しかし途中で、ある最高指導部メンバーと思われる人物の介入で調査は中断された」と述べた。その後、高官は宋会長の汚職事実に関する資料を李氏に渡し、告発するよう依頼したという。李氏はその高官の名前を明かしていない。また、宋会長の背後に大きな後ろ盾があることも暴露した。
世界トップ500企業にも数えられる華潤集団は小売り、電力、金融、不動産、セメント、ガスなど多岐にわたり事業を展開する巨大複合型国有企業である。中国では巨額な利権が絡むため、国有企業は太子党らに独占され、腐敗の温床になっている。東方日報は、華潤集団は数多くの太子党を雇い入れ、太子党の人脈を後ろ盾として利用していると報じた。さらに、「宋林が失脚すれば、太子党は利益を絶たれるだけでなく、調査の手が及ぶ恐れがあるため、反発する上層部メンバーがきっといるだろう」と分析した。
調査を妨害した上層部メンバーに関する具体的な情報は出ていないが、李鵬元首相の名前が浮上している。李鵬氏の息子は宋会長が不正を行った山西省の省長であり、宋会長と親しい関係にあると伝えられ、華潤集団は同省に都市再開発事業や石炭、セメントなど多額投資を行った。
前最高指導部メンバーで汚職疑惑を指摘される周永康氏への調査も同氏と関係が深い国有企業、中国石油天然ガス集団の幹部逮捕から始まったことから、東方日報は宋林会長への調査は新たな権力闘争の前哨戦だと指摘した。
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