香港デモ、10年来の最大規模になるか 「中国政府に屈しない」

2014/07/01
更新: 2014/07/01

【大紀元日本7月1日】香港は1日、イギリスから中国への返還17周年を迎えた。一国両制度の形骸化を懸念する市民は、この日に合わせて毎年大規模なデモを開催してきた。今年は中国政府が6月10日に発表した白書で、「香港の民主主義に限度がある」と警告し、市民の反中感情をいっそう募らせた。6月20~29日に行われた次期行政長官選挙における普遍選挙制度の導入のあり方を問う非公式住民投票に香港人口の10%を超える79万人の市民が参加した。こうした中で、デモの主催者は2003年以来、最大規模となる50万人の参加を目指している。

投票は普通選挙のための3つの制度案を選ぶもので、いずれも住民推薦で立候補者を認定する「住民指名」方式を含んでいた。これまでの中央政府が望む「親中派」のみが立候補可能だった「間接選挙」は選択肢に入っていない。当初、10万人が投票参加と見込んでいた主催者はこの結果を受け、デモで普遍選挙の実現に向けてさらに勢いを付けたい考えだ。

そもそも返還を祝う記念日だったが、今は香港市民の不満をぶつける日となった。本土資金の流入による不動産価格の高騰、駆け込み出産を狙う妊婦の殺到、粉ミルクの買い占め、そして観光客らのマナー違反は香港人の反感を買った。さらに、香港紙・明報の劉進図編集長が中央政府の圧力で突然更迭されたこと、小中学校で愛国教育を強要されるなど、日に日に介入を強めてきた中国政府に市民は強い危機感を抱いている。市民らのこうした心情を反映するかのように、6月17日に香港大学が行った調査で、「自分は中国人」と認識する香港市民の比率は返還後の最低を更新した。

一方、中国政府系メディアはデモ前日の6月30日に一斉に集中砲火を浴びせた。英字紙・チャイナデイリーは住民投票を「違憲の政治的茶番」、「違法で無効」と批判した。人民日報傘下の環球時報は「一部の人が香港と中国の国家利益を度外視し、個人の政治的野心を実現しようとしている」と主催者に愛国精神が欠けていると指弾した。

香港の自由を守り、中央政府の恐喝に屈しない」をテーマに掲げた今回のデモに台湾からも支持者が駆けつけた。中国とのサービス貿易協定の承認に反対して今春、台湾立法院(国会)議場を占拠した学生らの代表の一人で、台湾・清華大大学院生の陳為廷氏が29日、香港に入境しようとしたところ、香港当局に理由も告げられず拒否され、台湾に戻された。同じく中国に呑み込まれることを危惧する台湾との共闘を懸念する中国政府の思いがあったとみられる。

デモは1日の午後3時(日本時間同4時)に開始し、毎年参加者多数のため、終了時間が見込めない。またデモ終了後、2つの団体が翌朝まで座り込みを行うと表明。団体のリーダーの1人によると、座り込みには数千人が参加する見込みという。

(翻訳編集・江音)