【大紀元日本7月24日】中国の電子商取引最大手アリババ・グループ・ホールディングスは同社の大株主に複数の太子党(共産党高官子弟)ファンドが存在すると指摘されたことについて、「当社唯一のバックグラウンドは市場だ」と否定した。専門家は米海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に、同社の成功は「現職最高指導部メンバーの家族と手を組んだため」と同社の主張を一蹴した。
米紙ニューヨークタイムズ(NYT)21日付の報道によれば、アリババの株主には、江沢民元国家主席の孫・江志軍氏が共同経営者となっている博裕資本や、 現職政治局常務委員の劉雲山の息子、劉楽飛氏が会長を務める中信資本、故陳元総理の息子陳元氏が率いる国開金融など総勢20人を超える太子党系ファンドが名前を連ねている。
アリババの新規株式公開(IPO)は米国で過去最大規模となる可能性があるだけに、その複雑な提携関係と不透明な経営構造は問題視されている。同社はこれまでソフトバンクなど上位株主しか公開していなかったが、そうした批判を受けほかの株主の詳細も公開した。
馬雲会長は太子党ファンドとの関係を否定しているが、ハーバード大学で客員教授だった法学者の陳小平博士は「太子党との親密関係がなければ今日のアリババはない」と言い切った。アリババはオンライン決済サービス「アリベイ」(支払宝)を運営しており、さらにアリベイを通じて金融サービスとして個人向けにMMF(マネー・マーケット・ファンド、「余額宝」が商品名)も販売している。中国では金融業が国有銀行によって独占されており、アリババが金融業へ参入できたのは太子党の存在と大きく関係していると陳氏は指摘する。
馬会長は太子党の支持を取り付けた後、共産党を擁護する発言を繰り返してきた。2013年7月には香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストの取材で、1989年の天安門事件について「武力弾圧は_deng_小平氏の完璧な決断ではないが、最も正しい決断だ」と弾圧を支持する発言をした。さらに、米検索エンジン大手のグーグルが中国市場から撤退したことについて、「グーグルは反省すべきだ」「他人の成功は政府の支持があったからだと勘違いしてはいけない」と批判した。
馬会長が初めて江志軍氏と接触したのは2012年とされている。こういった発言に太子党と良好な関係を築く意図があると陳氏は分析する。太子党とのタッグを実現させ、馬会長は「中国の銀行が変わらなければ、われわれは銀行を変えていく」とも豪語していた。
アリババへの投資で太子党系ファンドは莫大な利益を得ている。アリババが公表した株主の詳細によると、中信資本、博裕資本、国開金融がそれぞれ同社の株式1.10%、0.55%、0.47%を保有している。今回のIPOが成功すれば、同社の時価総額は2000億ドルに上ると推定され、これら太子党系ファンドが少なくとも25億ドルの収益を得るとみられる。
一方、アリババと太子党との関係を指摘したNYT紙の記事が中国の微博(ウェイボー)でも話題となっているが、関連の書き込みが削除されている。香港大学のFu King-wa助教授はロイター通信に対し、「削除は、アリババだからというよりも、指導者の子息や孫に言及したことが主な理由」と指摘した。
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