中国の地方債務総額、公表値の倍以上か 「1~3割だけ申告」

2014/12/22
更新: 2014/12/22

【大紀元日本12月22日】中国の国家発展改革委員会(NDRC)が運営するシンクタンク、都市・小都市改革発展センターの李鉄主任は14日、地方政府の債務規模は公表数値の倍になる可能性が高いと述べた。中国の審計署(会計検査院)は2013年末に、地方政府の債務残高が同年6月末時点で17兆9000億元(約340兆円)に上ると発表した。中国メディア・第一財経網が報じた。

同氏は海南省三亜市で行われた国際金融フォーラムで、十数カ所の都市で査定評価を行った結果、「地方当局は実際の1~3割しか報告しておらず、多くても5割を超えていない」という。

地方債務の規模について、週刊誌・中国経済週刊が8月18日号で、全国人民代表大会財経委員会の尹中卿・副主任の話として、地方政府が抱える負債総額が公表された金額を大きく上回って30兆人民元(約570兆円)を超える見通しだと伝えた。中国金融専門家・郎咸平氏は昨年3月、中国地方債務の総額が少なくとも36兆元(約680兆円)を超えると推測し、いずれも李氏と同じ見解を示した。

6月25日付の中国紙、第一財経日報によると、中国の審計署が地方政府を対象に行った債務状況調査で、今年3月末までに9省で合計8億2100万元(約134億円)の債務が償還期限を過ぎても返済されず、デフォルト(債務不履行)に陥っていたことが分かった。これは中国の地方政府で正式に確認された初のデフォルトである。

今後2年間、債務返済圧力が最大

地方政府の債務返済の圧力が強まっている。審計署の資料によると、2014年から2016年までの3年間で、満期となる債務が地方政府債務総額の約半分を占めるため、債務返済負担はピークを迎えている。期限別の債務返済額の状況をみれば、2014年に満期となる債務は3.6兆元(全体の19.9%)、2015年は 2.8兆元(同15.5%)、2016は 1.9兆元(同10.9%)となっているという。

しかし、中国では景気低迷の影響で、地方政府の返済能力が低下している。不動産市場が冷え込むと同時に、地価も下落しており、地方政府の主な財政収入源となっている土地売却収益も大幅に減少している。集中的に満期となる債務を返済するにしても、地方政府は銀行に土地を担保に入れるのが難しくなり、地方政府の返済負担が一段と増加してくる。

経済学者「地方債務は経済危機の引き金」

中国メディア・新浪財経は10月5日、香港大学の経済学教授・許成鋼氏がメディアの取材に対し、大規模な経済危機を誘発する可能性が最も高いのは地方政府の債務であるとの見解を示した。

世界金融危機後の景気回復を促すため、中国政府が2013年までに4兆元の対策を含めた一連の景気刺激策や金融緩和策を実施した。それは、地方政府債務が膨れ上がる要因となっている。多数の財政刺激策は、地方政府の負債によるものだった。地方政府は土地を担保にして実質的に巨額の債務を負った。

国家統計局の発表によると、11月の中国新築住宅価格は前年同月比3.7%下落し、3カ月連続で前年水準を下回った。主要70都市のうち67都市の価格が前年同月比で下落し、3都市が横ばい、上昇した都市はゼロだった。

許氏によると、地方政府の債務はあまりにも膨大で、不動産市場の低迷は重大な危険性をはらんでいる。不動産市場不況が財政・金融危機などへと連鎖し、経済全体が悪循環に陥り、重大な経済危機を誘発してしまうという。

(翻訳編集・王君宜)