【大紀元日本6月5日】1989年に武力弾圧された中国学生民主運動「六四天安門事件」は4日で26周年を迎える。中国政府は例年通り、期間中に人権・民主活動家や遺族を軟禁するなど草木皆兵の警戒態勢を敷いている。一方、香港誌は、最高指導部内部で事件の名誉回復を求める意見が上がっていると報じた。
事件当時「国家機密漏えい罪および反革命宣伝扇動罪」で逮捕され、懲役7年(実質服役期間8年)の判決を受けた故趙紫陽・元総書記の秘書・鮑彤氏(ほう とう、83歳)は5月30日、警察当局に自宅から強制連行された。夫人は米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材でこう語った。「いつものように事前通知もなく、(警察が)突然にやってきた。どこに連れていかれたのか、いつ帰されるのか、説明はまったくなかった」。期間中に鮑彤氏と同様の扱いを受けた民主・人権活動家がほかにも大勢いると報告されている。
遺族会「天安門の母」の発起人で、17歳の息子が殺され事件の名誉回復を求め続けている丁子霖さんは5月31日から自宅に軟禁されている。
交通規制も敷かれている。当時、軍隊と学生が激しく衝突し大勢が死亡したとされる現場に繋がる地下鉄・木樨地駅の西と北口は、「敏感期間中」の2日午後6時~4日の終電までが閉鎖されることになった。市民が追悼のため現場に訪れるのを防ぐためとみられ、毎年の慣例措置のようだ。
事件に関する情報封鎖はいまも続いている。外国メディアが撮影した同武力弾圧の現場映像が多くあり、数千人から数万人が殺害されたとされる中、中国政府は当初から「武力弾圧はなかった」という公式見解を変えておらず、大半の国民もそれを信じている。
こうした中、事件の再評価をめぐる最高指導部の「意見対立」も報じられた。香港誌「争鳴」の6月号記事によると、学生に同情的な姿勢を見せたことで閑職に追いやられた元最高指導部メンバーの胡啓立氏(86)は2011年夏、当時の最高指導者・胡錦濤氏に「在任中にぜひこの問題の解決を」と懇願したところ、胡氏は「気持は十分に理解できる、受け入れられる」と述べた上、「党内にも同様に問題解決に強い期待を持っている人は少なくない。しかし、内部会議で毎年議論してきたが解決にはならない……」と党内に根強い反対意見があることを示唆した。
今年もアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、台湾、香港など世界各地で追悼記念活動が展開されている。米国務省の声明は中国政府に対し、被害者に公正な政府見解を開示すること、平和な追悼活動への参加者の身柄拘束をやめることを求めた。
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