【大紀元日本7月7日】トルコでは最近、イスラム教信徒が反中デモを繰り返し、一部暴徒による襲撃事件も起きている。同教徒が多数居住する中国新疆ウイグル自治区における宗教行為・断食(ラマダーン)が、中国当局により阻害されていると、トルコ国内メディアが報じたことがきっかけだ。イスラム教への侮辱と取られ、対中感情が悪化し、抗議活動が広がった。
デモ隊は5日、首都アンカラやイスタンブールの中国公館前で中国の国旗を燃やすなどの抗議行動に出た。4日には観光名所トプカプ宮殿前で、中国人と間違えられた複数の韓国人観光客が襲われる事件が起きた。地元警察は催涙スプレーで抗議者を退散させ、韓国人らを保護した。市内の中華レストランも襲撃を受け、ガラスが割られるなどの被害が出た。
襲撃したのはトルコの極右政党、民族主義者行動党(Nationalist Movement Party、MHP)下部組織の極右団体「灰色の狼(Grey Wolves)」のメンバーら数人とされている。
トルコのメディアは、中国当局がイスラム教徒のウイグル族に断食月の断食を禁じ、無理やり食事をさせていると報道。これについて、トルコ外務省は中国大使を呼びつけ、問題への懸念を伝えたという。
一方で中国側はトルコの報道内容を否定している。政府系メディア・環球時報は「欧米メディアが長期にわたり、中国の少数民族地域の現状と、政府の少数民族政策を歪曲して報道してきた。それに加えて一部の人の扇動により、トルコで反中抗議活動が起きた」と伝えた。
駐トルコの中国大使館は公式サイトで5日、同国滞在中の中国人に安全確保に関する注意喚起を行った。「一部の中国人観光客が襲撃された」「できるだけデモ隊に近づかず、単独での外出を控える」などと記しただけで、詳細に触れていない。
在トルコ日本大使館も、「日本人は中国人と間違えられやすい」として注意を呼びかけている。同館公式サイトは、「ツイッターや Facebook等の(ネット)メディアを通じて、中国の断食禁止措置やウイグル人に対する弾圧についての情報が拡散され、トルコ人の中国に対する感情が特に悪化している」とし、今後も中国関連施設や中国人等に対する襲撃が計画される恐れがあると伝えた。
トルコの国内報道によると、6月30日には、中国の拘禁施設から脱出した173人のウイグル族がタイで一時拘束された後、トルコに入国した。同様に2014年11月、300人のウイグル族がタイを通じてトルコに難民として入国した。双方のケースでも中国政府は受け入れたトルコ政府に不快感をあらわにした。
イスラム教信徒のウイグル族は中国当局の宗教弾圧と民族浄化策により、「過激派」などのレッテルを貼られ、新疆ウイグル自治区では宗教行為の制約や職業や学校、言語などで社会的自由と権利を剥奪されつつある。世界ウイグル会議は、中国を脱出したのちに送還されれば、死刑か、収容所で臓器摘出や酷い拷問を受ける可能性が高いと伝えている。
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