20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は9月4~5日に、トルコ首都アンカラで開催された。各国は中国景気減速と株式市場の急落が世界経済成長に与えるリスクについて強い懸念を示した。
5日に発表された共同声明では、世界経済の成長は「われわれの期待に届いていない」とし、中国景気減速とその影響で世界同時株安などの金融市場の恐慌を主因とする世界経済の失速を回避するために「強調して、断固とした行動を取る」と表明した。
また同声明は、「通貨の競争的な切り下げを回避する」として、人民元の切り下げがきっかけで、世界各国が自国の輸出に有利になる意図的な通貨切り下げ、いわゆる通貨安競争をしないことを明記した。これは8月に中国人民銀行(中央銀行)が突然、人民元を大幅に切り下げたことを事実上けん制した形となった。
中国人民銀行の周小川総裁は会議において、「今年6月中旬までバブルが膨らみ先月下旬の株価調整が世界に影響を与えた」と述べ、株価の急落が世界同時株安の要因になったことを認めた。
今回2日間の会合で、各国の財務相と中央銀行総裁は中国に対して、過剰設備の解消や不良債権処理などの構造改革の加速を求める声が相次いだ。
中国政府が構造改革を加速できるかどうかについて多くの関係者は疑問視している。投資と輸出を主とする経済モデルから消費を主導とする経済モデルに転換させるには、市場の自由化が必要となる。しかし、このほど中国政府の一連の株式市場への救済措置からみると、中国当局は景気がより一層後退すれば、経済への政治的コントロールを緩めるどころか、逆に強める傾向にあることが示された。
G20会議では世界経済の見通しをめぐって、中国景気後退のほかに米国の利上げに関しても多く慎重な意見が出された。
一方、国際通貨基金(IMF)は9月2日、中国の経済失速が主な原因だとして、今年の世界経済の成長率を見通し、引き下げる方針を示した。IMFは今現在、今年の世界経済成長率を3・5%と予測している。また、IMFは主要先進国が協調して行動しなければ、中国経済失速と他の下振れリスクで世界経済が深刻な問題に陥るとの懸念を示した。
(翻訳編集・張哲)