中国財政部がこのほど発表した統計によると、今年9月末時点までの国有企業の負債総額は約77兆6828億元(約1476兆円)で、8月末までの約71兆7528億元から、1カ月で5兆9300億元(約113兆円)増加した。また今年1~9月まで、国有企業に新たに増えた負債総額は11兆元(約209兆円)に達した。10月28日付国内メディア「華爾街見聞」が報じた。
専門家は、国内経済が一段鈍化する中、政府当局は経済成長率を一定の水準に維持するため、企業のレバレッジ拡大(借入を増やすこと)を図っており、今後さらなるゼロ金利を含む金融的緩和が実施されるとみる。
中国社会科学院財経戦略研究院の汪徳華・副研究員は国内紙「経済参考報」(10月22日付)に対して、「国有企業の資産と負債は明らかに上昇している。財務コストの急増も明らかだ。また今年に入ってから国有企業のレバレッジが一段と拡大されたことを表した。レバレッジ拡大はマクロ経済情勢を安定させるのに一定の効果が見込まれるが、短期的にみるとその効果はまだ不十分だ」と評し、今後政府当局が主導する国有企業のレバレッジ拡大が継続すると予想した。
しかし、中国の負債残高が対GDPですでに250%超えているため、新たな負債は中国経済の長期的な発展に大きなリスクをもたらすことになる。
一方、財政部が21日発表した統計によると、国有企業または株式保有形態の国有企業の1~9月の純利益総額は約1兆7427億元(約33兆1132億円)で、前年同期比で8.2%減少した。そのうち、中央政府直轄国有企業の純収益は同10.2%減少で、地方政府管轄国有企業は同2.7%減少した。また1~9月の国営企業の総営業収益も前年同期比で6.1%減少した。国有企業の借り入れが増加しているにも関わらず、収益は落ち込んでいる実状が明らかになった。融資だけでは企業業績は良くならない。中国国有企業の真の民営化、市場の自由化とイノベーションの向上などがあってはじめて収益の増加ないし国内景気の好転がみられる。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。