1月4日に山西省太原市で開催された鉄鋼石炭業界における生産能力過剰問題の座談会に出席した中国の李克強首相は、国内鉄鋼業界が深刻な生産能力過剰に陥っている一方で、高品質の鋼材の生産ができなく輸入に頼る現状を指摘した。李首相は「われわれはボールペンのボールを含めて、ダイス鋼を生産する能力すらなく、輸入に頼っている。これらの構造的問題を調整する必要がある」と述べた。
李首相の発言は中国製造業全体の深刻な問題を露呈した。企業、特に各業界を独占する国営企業に技術革新または改善の意欲が全くないことは事実だ。中国経済の低迷につながる一つの主因ではないか。
昨年8月の国内報道によると、中国は高新技術生産においての実力が依然に不足しており、毎年輸入される半導体チップの総額は約2000億米ドル(約23兆6000億円)に達し、毎年輸入される石油総額を上回ると指摘した。このような重要な精密製品をすべて輸入に依存しているため、仕入れコストと元安による輸入コストの上昇を合わせると、企業の資金圧力が拡大した。また生産能力過剰で製品の卸価格が下落し、赤字の急増で破産に追い込まれる企業も現れた。
鉄鋼業、半導体製造業だけではなく、中国では多くの製品が生産できなく、品質も良くない。近年、中国人旅行者が日本各地で家電や化粧品やカバンやアパレルなどの日本製品を「爆買い」していると話題を呼んでいるように、中国国民が海外旅行を通じて海外の高性能で高品質の製品を購入している。
技術革新と技術改善をしない中国製造業は主に低価格製品を生産しており、また輸入製品のコストが高いため、携帯電話、カバン、パソコンソフト、腕時計など、ありとあらゆる安価なパクリ製品が市場にあふれている。これらの偽物製品は海外まで輸出されている。
香港誌「動向」は昨年3月、「李克強首相が中国機械設備輸出に関する資料を審閲する際、中国企業は港で使用されるクレーン車、起重機のワイヤーロープ、自動車エンジンの主軸、飛行機の外装アルミ合金などの製品を生産できなく、すべて輸入しなければならないことに気づき」、衝撃を受けた李首相は「資料に赤い線を3本引いてから5分間も呆然としていた」と報道した。
(翻訳編集・張哲)