人民元市場化の中止に懸念=大和キャピタル

2016/05/27
更新: 2016/05/27

中国人民銀行(中央銀行)は人民元市場化を中止したと、このほど一部のメディアが報道した。大和証券傘下の大和証券キャピタルマーケッツ香港リミテッドの頼志文・チーフエコノミストは、人民銀行が人民元為替相場を管理することは「高い代価を支払う」と懸念し、その影響で国内経済は一段と失速し、香港経済にも打撃を与えるとの見方を示した。

米紙「ウォールストリート・ジャーナル」の24日の報道によると、中国当局指導部、国内経済専門家、銀行関係者が3月に行った内部会議において、専門家らが指導部に対して、中央銀行による人民元相場の管理を停止し、大幅な元安を認めるようにと提案したが、指導部に拒否された。

また同報道によると、人民銀行関係者は人民元の為替相場の安定した変動を維持するのが同行の最大の任務だと発言した。非公開の会議議事録によると、人民元相場の日常変動は再び中国当局の管理の下に戻っていた。人民銀行に近い情報筋によると、今年1月4日に同行はすでに、ひそかに市場の需給を反映する人民元の対ドルの基準値制定システムを止めていたという。

大和キャピタルの頼氏は、以前の政策に戻り、人民元相場を安定水準に維持し管理するには「莫大な外貨準備高を費やす必要がある」とし、「その代価は非常に高い。国内経済を一段と鈍化させ、信用市場の圧力も一段と緊迫する。香港経済も大きな打撃を受ける」との見解を示した。

頼氏は中国当局の人民元政策の変化があっても、元は依然と下落傾向にあると主張した。米国準備制度理事会(中央銀行、FRB)は7月に1回、下半期に2回と計3回の追加利上げする公算が大きいことから、今後ドル高・元安傾向が強く、今年末に対ドルでの人民元の為替相場は1ドル=7.5元に下落すると予測。

また大和キャピタルマーケッツ香港がこのほど発表した研究報告書では、今後第2ラウンドとなる中国からの資金流出が加速すると予測した。

元安や米FRB金融政策の影響のほかに、各国と国内の投資家は、急増する中国債務残高と政府の経済政策運営能力、経済政策と金融システムの不透明さに強く懸念していることも主因の一つだと頼氏は示した。

昨年下半期の資金流出は第1ラウンドとみられている。

一方、人民銀行は25日の対ドルの人民元相場基準値は1ドル=6.5693元と前日比0.3%元安に設定した。5年ぶりの元安水準になった。

(記者・梁珍=香港、翻訳編集・張哲)