待機時間2日、ドナー身元不明、どうして闇の臓器移植は続くのか ある医療従事者の告白

2016/09/08
更新: 2016/09/08

中国国内に居住するある中国人医療従事者が、大紀元の取材に対し天津第一中心医院東方臓器移植センターに勤務していた時の体験談を詳細に語った。同氏によると、中国移植手術医は日本で技術を学んでいるという。日本も、闇に包まれた中国の臓器移植産業の発展に、間接的にかかわっているといえる。 

あらゆる手段を講じて、臓器売買を推進する中国共産党の実態

私は中国国内に住んでいる者です。かつて天津第一中心医院の東方臓器移植センターに勤務しており、たくさんの臓器移植患者に接していました。

私が天津市第一医院7階の臓器移植センターでの仕事を紹介されたのは、今から数年前のことです。当時、中国は国を挙げて臓器移植を希望する大勢の外国人患者を受け入れていました。移植患者が多かったため、この病院は東方臓器移植センターとも呼ばれており、現在でもアジアで最大規模の臓器移植センターです。

臓器移植に関するやり取りは、完全に裏社会のブラックボックスの中で行われていましたが、そこにはいくつかのルートがありました。

1つは、仲介業者を利用する方法です。

韓国のある大病院に、博士号を持つ著名な医師がいますが、この医師と朝鮮族の中国人男性が連絡を取り合い、臓器移植が必要な患者をこの仲介業者に紹介し、仲介業者はコネを使って患者を病院へ送っていました。実は、当時の臓器移植は国と国の間の取り決めに基づくのではなく、裏社会の仲介業者らが互いに取り仕切っていました。

2つ目は、海外から医師を招へいすることです。

移植手術を執刀する医者が不足していたので、中国のある病院では高額の報酬を出して韓国人医師を呼び寄せました。この医師は同僚の中国人医師に、自分は韓国と中国両方の国籍を持っていると話していました。この二重国籍を持つ韓国人医師の手が、いったいどれだけの中国人の血にまみれているのか、知るすべはありません。

3つ目は、有名人による広告を出して患者を騙し、手術へと誘導する方法です。

多くの韓国人患者から、傅彪という中国人俳優の出演している(移植手術の)コマーシャルを見て中国に来たと聞かされました。中国では有名なこの映画俳優は、2004年8月26日、北京309医院で末期の肝臓がんと診断されましたが、わずか一週間で臓器提供を受け、9月2日には北京武警総院移植研究所で肝臓移植の手術を受けたのです。執刀医の沈中陽医師は、北京武警総院移植研究所と天津東方臓器移植センターという、2つの移植医療機関の責任者でした。翌年の4月28日、沈医師は肝臓がんを再発した傅彪氏に、天津東方臓器移植センターで2回目の肝臓移植手術を行いましたが、約4カ月後の8月30日、まだ42歳だった傅彪氏は、回復することなく亡くなってしまいました。

2回目の肝臓移植手術前、俳優の傅彪さん(向かって右)が、
他の入院患者と握手(広州日報スクリーンショット)

傅氏は2度の肝臓移植手術を受けましたが、1年しか生きられませんでした。ですが傅氏が亡くなって1年後の2006年、一部の韓国人患者は、まだ傅彪氏の移植手術のコマーシャルを見て中国に来ていました。彼らは傅氏がすでに亡くなったことを知らなかったのです。中国人ならだれもが知っていたことでした。これは、中国共産党が肝移植を望む世界中の患者に対して行った、あまりにもひどい詐欺行為です。

その後、ある人物からの手掛かりによって、傅彪氏に提供された2つの肝臓は、山東省の法輪功学習者から摘出されたものだったことが分かりました。彼らは沈医師によって、生きたまま肝臓を摘出されたのです。2002年から2005年の3年間に、生きている法輪功学習者からの臓器摘出数がピークに達しました。ある記述により、沈医師が生存中の人間から肝臓を摘出し移植する「実験」によって、多くの人が殺されたことが明らかにされています。

 

中国での移植希望者が絶えないわけ きわめて短い待機時間

肝臓や腎臓移植のために訪中する外国人の中で最も多いのは韓国人ですが、日本や台湾からの患者もいます。

ある韓国人患者とおしゃべりをしていた時、基本的に、中国人医師は臓器移植技術を日本で習得するのだと聞きました。この分野における日本の技術は進んでいるからだと。

当時、天津の臓器移植センターには鄭医師という「肝臓博士」と、宋医師という「腎臓博士」がいました。この2人の移植技術は卓越していましたが、2人とも、移植技術を学んだのは日本です。彼らは一カ所に落ち着くことがあまりなく、今日中国で手術を行ったかと思えば、明日は飛行機に乗って日本や他の場所に出張するなど、いつもひっぱりだこでした。

この病院では、移植手術を行う医師は3人1組でチームを組んでいましたが、何チームあったのかは分かりません。患者の家族が通訳に付き添われて廊下の椅子に座って待っている中、肝臓移植が夜を徹して十数時間にわたり行われていました。

韓国人や日本人といった外国人患者が、どうして中国まで移植手術を受けに来るのでしょうか。彼らが言うには、自国の技術が劣っているわけではないし、むしろ彼らの国の技術の方が中国のそれより絶対的に勝っているというのです。ですが、外国では短期間で臓器提供を受けることなどできません。日本でも韓国でも臓器提供を受けるまでに長ければ10年、短くても5~6年は待つ必要があるというのですから。患者の中には待っている内に亡くなってしまう人もいると聞きます。臓器の提供を受けるということは、決して(中国のように)簡単なことではないのです。

移植患者の驚き 「ドナー情報が存在しない」

私が出会った患者は、たいてい肝移植か腎臓移植を希望する人たちでした。腎臓移植の場合、拒絶反応が起こらなければ基本的に短期間の入院で帰宅することができます。通常、腎臓が入手できるまでの病院滞在日数は、早ければ2日で、時には10日から半月ほどかかることもありますが、患者たちは非常に速いと言っていました。

そのなかで、待機期間が最も長かったのは、肝移植を希望していたある韓国人患者でした。生存中の人間から臓器を摘出しているという事実が明るみに出て、中国共産党がこうした「公開殺人」という非人道的な行為をある程度慎まざるを得なかった、2006年のことでした。この患者は手術までに1カ月を要しました。

ある日、いきなり病院から武漢に向かうように言われました。すぐに飛行機に飛び乗りましたが、臓器移植ビジネスが早くからネットワーク化されていたとは思いもよらぬことでした。武漢で行われた肝臓移植は大成功で、この韓国人患者とその家族は大喜びでした。

彼らは帰国前、医者にドナーの情報を尋ねてほしいと私に頼みました。「確かに肝臓移植に大金を支払ったが(肝移植にかかる費用は30万元~50万元(約460万円~760万円))、肝臓の提供者がいたから、今の自分の健康がある。だから自分の寿命を延ばしてくれたドナーが誰であったのかを知りたい。その人物の家族に感謝の気持ちを伝えて、金銭か、もしくは何か別の形でお礼をしたいのだ。本当に感謝している」と言うのです。

ですが、私たち医療従事者はこの仕事に就くときに、「仕事は仕事。みだりに人の事情に首を突っ込むな。患者にも余計なことを話すな」と戒められていました。

もちろん患者たちはこうした規則を知りません。私も、彼らのたっての願いをかなえてあげたいと思い、あえて医者に尋ねました。すると「ドナーの家族が誰かを知りたいだって? 我々もそんなことは知らないのだ。探し出すことは不可能だし、誰にも分からない。ドナーに関する記録は存在しないのだから」という答えが返ってきました。

 

私は、医者から聞いた話をそのまま患者と家族に伝えました。すると彼らは非常に驚き「国際的には、肝移植や腎移植には規定があり、国際法によって、ドナー本人とその家族のサインが求められている。サインは本人が手書きしなければならないし、全ての手続きを要件に基づき記入しなければ、医者は罰せられる。韓国で移植手術を受ける場合、ドナー情報は公開されている。これは秘密でもなく合法的なことだ。なぜならドナー本人の同意があるからだ。本人のサインと両親のサインが揃わなければ、臓器の提供を受けることはできない」と言いました。

当時の私は、移植手術に関する国際法のことなど分かっていませんでした。彼らは「もし移植に関する国際法が存在しなければ、1つの臓器に30万から70万という高額の値段がつき、違法な殺人が大々的に行われる恐れがある。国際法が無ければ、世界は大混乱するだろう。金目的でなくとも殺人を犯す人間は、金のためとなればますます人殺しに手を染めるだろう」とも言いました。

移植を受けた患者は飛行機に搭乗する時、病院が発行した証明書を携帯しておく必要があります。そこには、この人物が手術を受けたばかりであり、何の臓器を移植したのかといった患者本人に関する情報のほか、ドナーの氏名とその居住地や家族構成、そしてドナー本人のサインも含まれています。この韓国人患者は、それが無ければ飛行機に乗ることはできないのだから、ドナーの情報を病院側が知らないはずはないと言いました。

のちに、患者が利用する飛行機は一般のものと異なり、二層の専用機だということを知りました。

そして、最終的に患者に渡される証明書には、どれも同じ文面が印字してありました。通常は「男性、30歳、臓器の提供元:死刑囚」とあり、名前の部分だけが異なっていました。

術後に現れる深刻な拒絶反応

移植手術後、一部の患者には拒絶反応が起き、中には深刻な症状が出る患者もいました。

ある男性患者は、入院した当初は正常だったのに、移植手術を受けてから精神に異常をきたしてしまいました。病室内を裸で叫びながら走ったり跳ねたりするのです。別の女性患者は、臓器移植を受けた後に急激な生理的変化が現れました。口の周りにひげが生え始め、声が野太くなり、性格すらも男性のようになってしまったのです。これらは特殊な事例ではありません。患者の家族からこうなったわけを尋ねられた医者は、薬による副作用だと説明していました。

患者の家族にもなすすべはありません。彼らのやるせない思いを言い表すことのできる言葉など、どこにもありません…。

「無知は罪です」 良識のある人々よ目覚めてほしい

当時私は、外国人患者が大金を払って移植した臓器が、生きている法輪功学習者の身体から摘出されたものだったということを知りませんでした。無知は罪です。中国共産党という悪魔によって洗脳され、私利私欲の塊となった人々は、白衣の天使から殺人鬼に変貌したのでした。

その後私は、ネット封鎖を突破して、中共による法輪功学習者からの強制的臓器摘出に関する様々な情報を、ようやく知ることができたのです。

私の体験談が、未だ法輪功への弾圧政策に関与している者たち、そして良識ある中国同胞の覚醒の一助となることを切に希望します。

(翻訳編集・島津彰浩)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。