中国国内インターネット上で、今、ある日本企業が注目されている。その企業は10年間も赤字覚悟で安全第一、高品質の農産物を作る試みを続け、最終的に無農薬農産物の栽培生産を成功させた。そのブログ記事が人気を博し、新浪微博、網易などのメディアで転載された。目先の利益を優先にし農薬を大量に使う中国の農業関係者や市民は、最初は嘲笑していたが、この成功に驚き、そして深く考えさせられたようだ。
不可解な5年放置の耕地 土を育てていた
7月1日に@煙台国際投資招商が新浪博客で発表したブログ記事によると、日本のアサヒビールと住友化学、伊藤忠商事が共同出資による山東朝日緑源農業高新技術有限公司(朝日緑源)は2006年、山東省莱陽市沐浴店鎮で約100ヘクタールの耕地を借りた。租地期間は20年。しかし2006年から11年の5年間は草を刈ることもなく耕地は放置されたままだったという。地元の一部の農民は日本企業のやり方を理解できず、「日本人は何をやっているのか?」と不可解な行動と思われていた。
日本企業がなぜここの土地を借りたのかを探ってみると、この場所が工業地から遠く離れ、土地が肥沃で水質も汚染されていないからだという。彼らは中国全土を探し回り最終的にこの地を選んだ。中国には多くの耕地があるが、健康な農作物を作れる土地はとても少ない。
なぜ5年間も放置したのか。日本人の責任者は「種を植える前にまず土を作る。土を作る前にまず人を作ると日本は昔から言われているのだ、だから土の品質を最も重視する」と話した。彼らはこの5年間に化学肥料と農薬で侵されていた土の品質を回復させようとしたのだ。
そして5年後、彼らはやっと動きだした。1800頭の乳牛を放牧し始め、牛糞を使い土の質を改善し、無農薬・無公害の農作物を作ろうとした。化学肥料を使わず、雑草も除草剤も使わず手作業で草取りをし、農薬の使用も極端に少ない、それを見た中国の農民は日本人は愚かだと思った。
「収穫は天に任せる」自然栽培
さらに、中国人に理解できないことがあった。日本人は牛の飼料をいちいちチェックしており、人間より栄養たっぷりの飼料を牛は食べている。そして生産した牛乳が標準に合格しなければ、全部処分することだ。
またトウモロコシ、小麦、イチゴを栽培しても、収穫は「天に任せる」からと言って絶対に農薬を使わない。収穫量が少ない朝日緑源が毎年、赤字経営だったことを中国人農民は嘲笑のネタとしていたという。
しかし10年過ぎ、朝日緑源は成功を収めた。中国の農民は驚きを隠せなかった。朝日緑源が出荷した牛乳の定価は1リットル当たり22元、中国国内メーカーより1.5倍も高く売られている。イチゴの出荷価格は1キロ当たり120元だという。
市場価格から4~9倍値のイチゴ 人気高く需要追いつかず
国内農業情報サイト「松際農網」によると、北京大洋路農産物卸市場の9月17日のイチゴの卸平均価格は1キロ当たり16元で、江蘇省無錫市錫澄果物卸取引市場では17日のイチゴの卸平均価格は1キロ当たり32.17元だった。
朝日緑源の農産物は9割を日本国内に供給し、残り1割を中国の上海と北京のマーケットに供給している。値段は高いが、人気が高く需要に供給が追い付けない状態だという。
このブログ記事では最後に、食品問題で悩まされている中国人にとって、「日本企業が農薬を使わなかったり、5年間も耕地を放置することは嘲笑のネタではなく、警鐘である」「この事実を直視し学び、農業の環境保護を強化していけば、農民の収入が増え、さらに食品の安全も確保できて農業も発展し、最後には農民も笑うことができるようになる」と結んでいる。
中国ネット上では、このブログ記事について広く議論されているようだ。「現在の社会は目先の利益ばかり重視し、一つの事を成し遂げるために、このように10年間赤字をだすことを覚悟する個人や企業は非常に少ない。これがまさに日本人の恐るべきところだ」
「よく考えてみたら、この自然法則に則った栽培方法は昔の中国の天人合一の思想に一致している。これは日本人だけの知恵ではない。中国でも、このような環境にやさしい栽培理念を広げていけば、子孫代々に多大な恩恵を受けるだろう」などと、日本企業のやり方で考えさせられたというコメントも多い。
(翻訳編集・張哲)
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