中国で今年、募集人数1人枠に対し、希望者7700人が殺到した国家公務員のポストがある。それは、ある小さな野党で、来客者にお茶を出すという仕事だ。ウォールストリートジャーナルが報じた。
人気枠は「お飾りの政党でお茶くみ」
今年の中国の中央機関と国の直属機関の国家公務員試験「国考」を受ける予定の中国人求職者は、100万人を超えた。出願登録の際には希望のポストを選択するよう求められ、今年の一番人気は、マイナーな政党である「中国民主同盟オフィスの主任」で、7700人が希望した。
中国民主同盟(以下、民盟)とは中国の内戦中に、共産党と国民党とは別に独立した政党。1949年に中国共産党が政権を握ってからは、影響力のない「お飾りの」小さな政党である、花瓶党の一つとなった。共産党はこうした花瓶党によって、中国国内にあたかも多様な政党やイデオロギーがあるかのように見せかけている。
民盟の倍率がここまで高くなった主な理由として、職場が北京にあることと、募集条件が厳しくないことが挙げられる。仕事の内容はオフィスでの接客と、政府関連の会議や諸活動のための準備で、資格は大卒であることだけ。共産党員という身分を求めないことも大きなポイントである。
好待遇に加え、汚職の「うまみ」も得られる公務員
中国の国家公務員試験は超難関として知られる。公務員が安定した職種であることに加え、戸籍や居留、年金や医療保険に住環境などすべてにおいて、好待遇が保障されているからだ。
あるアナリストは、公務員を目指す中国人が多いのは、こうした好待遇を目的とするだけでなく、公務員の立場を利用して様々な利権を得たり、汚職で蓄財したりできるからだと指摘している。
今年の公務員試験では、昨年より25%増の2万7千817の国家公務員ポストを公開募集することが発表された。募集は10月24日にすでに締め切られており、試験は11月27日に行われる。
公務員の雇用関連業務を行っている国家公務員局は20日、応募者に対し、希望者の少ない職種に応募するよう呼びかける通知を出した。通知には約4千もの「人気のない」職種が列挙されているが、その多くはチベットや黒竜江省のチチハルといった辺境の地が任地となっている。官製メディアは、その中の400のポストについては応募者がゼロであり、おそらく応募条件が厳しすぎるか、勤務地の場所がよくないからだろうと報じている。
(翻訳編集・島津彰浩)
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