最近の研究によると、中国の一人っ子政策により、妊娠や出生が記録されていない「無戸籍」の女性が3000万人近くいるという。
1979年に実施された一人っ子政策により、人口から女性が3000~6000万人が記録されていないと専門家は指摘する。これには堕胎や産後の死も含まれる。
中国では、女児より男児が圧倒的に好まれる。政策実施以後、中国の男女比の不均衡は表面化した。報道によると、中国人女性と結婚できない適齢期の中国人男性は、約3000万人いるという。
中国統計局の2012年発表のデータによると、男女比は118対100。
一方、11月の中国季刊誌で発表された調査論文では、このアンバランスさは、事実と異なっていると主張する。執筆者の一人、カンザス大学の政治学准教授ジョン・ケネディ氏は、「3000万人の女性の存在が消えている」と指摘する。
研究チームは、1990~2010年に約1500万人の無戸籍の女性がいたと見積もっている。単に出生が不届であるのは1100万人で、約400万人は人工中絶、出産後の死亡、中国国外への養子縁組など。
一人っ子政策に合意できなかった地方当局者
研究調査チームは、女性たちの出生が記録されなかったのは、地方当局者が、堕胎や乳児殺しを住民に強いることになる人口管理政策を実施することができなかったからだと推測している。ある地方幹部は「(家族計画の)すべてに合意していない」と調査員に証言した。
地方では、人と人とのつながりが強い。ケネディ氏は、「地方当局者もまた、その村の住民であり、地域で政策を実行する村に住まなければならない」と記した。
また、「社会の安定維持」のための政策に、数字の隠ぺいには、住民も協力していたという。
一人っ子政策実施時は、2人以上の子供を生んだ家族は、農村部など一部地域を除いて、罰金が科せられた。2015年、中国政府は、同政策を廃止すると発表した。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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