法輪功迫害 インタビュー

共産党の終焉は遠くない 中国社会で兆し=新華社元ベテラン記者が語る(1)

2017/04/30
更新: 2017/04/30

法輪功とは何か。どうして今もなお、中国共産党政権から残酷な迫害を受けているのか。中国でも最大数の被害者たちによる平和的な抵抗運動は、中国社会全体にとってどんな意味を持つのか。民主国家の日本は、どのように中国と付き合っていくべきなのか。

これらの疑問に、記者歴40年のジャーナリスト・呉葆璋氏が、「四・二五」法輪功平和請願事件11周年にあたり、法輪功問題と中国社会のこれからの流れについて、大紀元の取材に応じて、日本人読者と中国報道を扱うメディア関係者に語った。

呉氏はかつて中国政府報道機関「新華社」で28年間勤務し、フランス国際放送局中国語放送部の責任者を務めた。中国国内と海外で、ジャーナリストとして中国を長年観察しての発言である。


記者歴40年のベテラン「法輪功問題は中国の政治問題の核心」

私は新聞記者として40年以上も活動してきた。中国の新華社で28年、フランス国際放送局で13年。2003年に定年退職した。1999年4月25日に発生した法輪功請願事件の後、私は新聞記者として法輪功に注目し始めた。それ自体に注目するより、中国社会の大きな背景の下に起きたこの問題を見ていた。

長年観察してきた結果、法輪功問題は、中国のすべての政治問題の核心であるという結論にたどり着いた。

 なぜこの結論に達したのか。私はこれまで、70年以上の人生経験の中で、共産党政権60年の間に起こった数多くの運動をすべて自ら体験してきた。中国共産党政権については熟知していると自負する。中共政権の数多くの政治運動の目的は、ほかでもなく「政権維持」の一言に尽きる。

共産党の「政権維持」で弾圧、迫害

これらの政治運動は、悲惨な結果を招いた。弾圧、迫害、人間改造。すべての政治運動で共産党の目的は達成された。共産党に不満を持つ人や反対意見を言った人たちは、弾圧され、迫害され、共産党に改造され、共産党を賛美する側に転向した。

 しかし、法輪功の学習者だけは唯一の例外だった。ほかの被害者グループとは違い、法輪功の共産党政権に対する抗争は徹底していた。一貫して屈しない。逆に中共に立ち向かい、その虚言と暴力の本質を、平和的な手段を通じてあばいていく。そのような被害者グループは、中共60年の暴力的な圧制政権下では、全く初めてだった。

 中共が暴力的な弾圧を行う中、法輪功は中国近代史において、多くの「初めて」の歴史を生み出した。法輪功学習者が海外で設立したメディアグループは、中共政権の被害者グループとして初めてである。彼らのメディアは、中共の暴力と邪悪を暴露した。人々を目覚めさせ、中国内での民衆による共産党離脱運動を推進させた。

 また、海外で国際司法手段を駆使し、江沢民前国家主席など法輪功迫害に加担する共産党リーダーらに対する訴訟を起こし、国際司法界の支持を得ている。これも共産党政権が国民を迫害する歴史の中で初めてのことである。

 それだけではない。被害者でありながら、文化の領域でも「神韻芸術団(公式サイト日本語)」を創立して、中国伝統文化を復興させようと努めている。彼らが演出する「神韻」は、私にとっては、すでに中国舞台芸術の頂点に達している。

2017年1月、米ニューヨークのリンカーンセンターで開かれた神韻国際芸術団の公演。追加公演されるほど大人気に(戴兵/大紀元)

共産党の終焉は遠くない 中国社会で兆し

 

 私自身は、中共60年以来の歴史を経験してきたので、中国社会が今後どの方向に発展していくのか見通せる。しかし、どんな方式で、どんなタイミングでこの社会の転換が実現できるのか、私は政治家ではないので、はっきり言えない。ただ、記者の目線で分析することで、方向性は明確に把握している。

 ここ数年、私は、中国国内での社会転換のうねりに気付いている。それは、法輪功学習者と、共産党政権歴年の被害者や急成長する経済の犠牲者らが、独立派の記者、弁護士、知識人、体制内の有識者らの助けを借りて、共に中国社会を転換していこうとするトレンドだ。これらの人たちの努力のおかげで、共産党の独裁政権が終焉を迎える日はそれほど遠くはない。民主と自由が中国にもたらされる日は遠くないと信じている。

3カ月で消滅と目された法輪功 歴史と道義の制高点へ

1999年以来、中国共産党政権は法輪功学習者を弾圧し、残酷な迫害を始めた。当初は3か月以内で、いや1年以内で法輪功を消滅すると当局は言い切った。11年経った今、法輪功は消滅するどころか、歴史と道義の制高点(せいこうてん)を占めている。

11年もの弾圧を経たが、中国社会の各層には、いまだに多くの法輪功学習者が存在している。彼らは、堅い信念を堅持し、身の危険を感じながらも、周りの人々に真相を伝える努力をしている。2003年に私がフランスの放送局を定年退職する前、郵便ポストによく法輪功真相のチラシが入っているということを、北京の視聴者から聞いていた。

さらに、11年前と比べ、現在、法輪功は中国国内だけでなく世界各地でも躍進し、世界的な精神運動となっている。
 

1999年、弾圧停止を求めて北京の天安門広場で、法輪功の理念「真善忍」の文字を掲げる学習者と、歩み寄る警備兵(minghui.net)

一方、中共60年の歴史、特に後半30年の歴史を見ると、中共の絶対的な権力が酷い腐敗を育ててしまった。私は預言者ではないが、少しでも賢明な人であれば、これから歴史がどの方向に向かっていくか分かると思う。ヨーロッパでは、中国の今後の歴史の転換に対応するよう準備し始めている政治家も現れている。

中共の理解「経済さえ良ければ、政権の危機から免れられる」

中共の問題は、前ソ連共産党の問題とは同じではない。ゴルバチョフが大統領に就いた当時、ソ連の元老たちはすでに影響力が弱くなっていた。当時ゴルバチョフが面した困難は、現在中共内部で改革思想を持つ人たちが面する困難よりはるかに少なかった。

前ソ連とベルリンの壁の崩壊から中共が得た結論は、「経済さえ良ければ、政権の危機から免れられる」ということだ。ここ20年、中共は経済の高度成長を図ってきた。環境破壊や社会的財産の不公正な分配などにまったく配慮することなく、高度成長に命賭けだ。経済発展によって政権維持の問題が解決できると思っている。

 しかし、経済の落し穴から逃れられても、思いもよらない社会の落とし穴が待っていた。一党独裁政治の下で実現された経済成長は、社会の富を政府官僚の手に渡らせた。一党独裁下の市場開放は、ヤクザが賭博場を運営するのと同じだ。

 少し賢明な人であれば、中国の腐敗問題は拡散的であることが分かるはすだ。フランスの業界の友人から、中国では賄賂を利用しないと物事がうまく運ばないと聞かされている。

中共の体制内部から民主・自由の改革は不可

このような高度成長は多くの被害者を出した。そのうちの1グループとして、直訴者が挙げられる。ほとんど生きる道がないところに追い詰められ直訴する人たち。しかし、願いは聞き入れられない。このような拡散的な腐敗社会は、いつまで存続しうるのか。

 中共はソ連共産党より厳密な組織制度を敷いている。趙紫陽のようなトップの指導者でさえ、改革的な発想をわずかに抱いただけで、解職され、自由を奪われ、軟禁されたまま死去している。中国共産党の組織制度は、制度の逸脱者を識別し、打撃を与えることに注意を払っている。

このような体制から、ゴルバチョフのような人物が現れる可能性は期待できない。私は、中共の体制内部から、政治改革と民主化、自由化を実現する人物が出てくるような願望は、虚しい幻に過ぎないと思っている。

(続く)

(聞き手、文/趙MJ)


記者補足 1999年4月25日、中南海での法輪功学習者による請願

1999年4月25日朝、一万人を超える普通の市民が、北京の中南海付近にある国務院「信訪弁」を目指して集結した。中国共産党政権にとって最も耳にしたくない「信仰の自由」を求めることが目的だった。警察の指示で一万人が、中南海を取り巻くように整列した。中南海のリーダーが、信仰のために干渉を受けているという事情を聴取したことを確認し、請願者は即座に中南海を離れた。

一万人の請願者は、静かに現れ、静かに去った。彼らが一日中並んでいた道路には、紙屑一つなく、中南海前の4月25日は、何もなかったかのような平穏な一日だった。これが、世界のメディアを驚かせた「四・二五」法輪功平和請願だ。

中国政治の中枢で、民衆による平和的で大規模な集団請願が行われたが、官民の武力衝突とはならなかった。中国近代史上、前例のない出来事だった。

改革開放後の80年代に現れた伝統気功ブームを背景に、心身の健康維持に高い効果を持つことから、一億人の愛好者を惹きつけた、伝統的な気功修錬法「法輪功」。「四・二五」事件をきっかけに、「法輪功」という名が世界に初めて知られるようになった。「真・善・忍」という教えを生活の中で黙々と実践する法輪功学習者は、中国の政治舞台へと押し出され、平和的に抵抗する運動の幕が切って落とされた。共産党政権による迫害は、今年で11年になる。


本記事は、2010年4月26日に掲載されたものを、再掲載しました。

インタビュー記事において示された見解は、呉葆璋氏個人のものであり、大紀元のオピニオンを代表するものではありません。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
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