中国の国産大型旅客機C919は5月5日、初のテスト飛行を行った。しかし、中国政府系メディアによると、昨年12月に行われた滑走テストでは、十数メートルを滑走した後、故障によりテストは敢行されていない。C919の安全性は疑問視されている。
C919は中国商用飛機有限責任公司(COMAC)が開発中の168~190席のナローボディ機だ。全長38.9メートル、全高11.95メートル、収容可能乗客数は130~190人。航続距離は4075キロ、限界上昇限度1万2100メートル。
中国国営「中央テレビ放送」(CCTV)6日付によると、昨年末に行われた初めての滑走テストでは故障でテストが途中で中止させられた。
同報道によると、C919テストクルーの蔡俊機長は、滑走テストでブレーキに違和感を覚え、「テストを続ければ、機体構造と他のシステムに悪い影響を与えかねないため、クルーが検討した後に、テストを中止した」と説明した。
C919の設計総責任者の呉光輝氏は、(故障を受けて)ソフトウェアを改善してから1カ月後に、滑走テストを再開したとした。
一方、中国政府系メディアのほとんどがC919は中国が完全に設計し製造した次世代ジェット機と称賛している。しかし「中国科学報」の2013年の報道によると、北京航空航天大学の黄俊教授はC919の胴体、主翼、尾翼などは中国国産だが、エンジンやエアボーンシステムなどは外国産部品を使っていると話した。
ロイター通信も、C919の処女飛行を成功させた5日に、中国国産ジェット機は「少なくとも15社の海外メーカの部品を使用」と図解付きで指摘した。
中国国内航空関連製造業の関係者がこのほど、ドイツメディア「ドイチェ・ヴェレ」に対して、C919の核心的技術は海外企業から導入され、中では英エアバス社や米ボーイング社が中国市場でのシェア拡大のために、中国当局に一部の技術を譲り渡したと話した。
C919には国産部品と外国企業のエンジンなどが一体化されているため、同飛行機の安全性や性能が問題視されている。中国国内の会員制交流サイト(SNS)では、中国航空工業集団の西安飛行自動控制研究所(618所)の関係者と自称するネットユーザーは、C919は米国ハネウェル社の操縦システムを使っているとし、同研究所が行ったシステム的テストには多くの虚偽データがあると指摘した。
C919を欧米などの各国に売り込もうとする中国当局にとって、C919は米国連邦航空局(FAA)や欧州航空安全機関(EASA)が発行する型式証明を取得するのが難しいとみられる。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。