中国人民銀行(中央銀行)が12日の記者会見で今年上半期金融統計を発表した。なかには、不動産関連貸出やマネーサプライ(M2)などの伸び率が低下し、当局が不動産市場に対して引き締めを強化する姿勢が一段と鮮明になった。
人民銀行の阮健弘・報道官によると、上半期の不動産向け銀行融資は前年比24.2%増の約30兆元(約498兆円)で、増長ペースは昨年年末の27%増から鈍化した。個人の住宅ローン残高は同30.8%増の約20兆元(約332兆円)だが、増長率は昨年年末と比べて5.9ポイント下落した。
また6月末のM2残高は163兆1300億元(約2708兆円)で、前年比で9.4%増となった。2000年以降の最も低い伸び率となった。
阮報道官は、昨年末以降当局の不動産市場引き締め策を強化したため、関連融資の増加ペースが鈍化したとした。
中国メディア「鳳凰財経」(13日付)は、M2伸び率の鈍化で、各業界、特に不動産業界に打撃を与えると指摘し、「過熱する不動産市場の終焉を意味する出来事だ」と分析した。さらに、業界関係者の話として「不動産バブルはまもなくしぼむだろう」と報じた。
中国当局は過去十数年、不動産市場への投資により経済成長を推進していく方針でM2が急増した。人民銀行の統計によると、2000年末のM2残高は13兆4610億元(約222兆円)で、07年は40兆3442億元(約670兆円)だった。
一方、「鳳凰財経」によると、銀行の住宅ローン利息も上昇する傾向にある。世帯1軒目の住宅ローン貸付金利は4月の4.49%だったが、5月に4.73%、6月には4.89%に上昇した。今後、当局の貸出基準金利の5%前後に並ぶとみられる。
また、近日国内不動産大手の万達集団が、債務返済のために一部の不動産資産を売却したことから、当局の引き締め強化で、資産売却に踏み切る不動産開発企業が増えるとされる。
現在、中国国内142社の不動産関連企業の総負債額が約3兆4000億元(約56兆4400億円)に達している。
(翻訳編集・張哲)
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