中国の経済学者は、当局が推し進めている国有企業に民営資本を導入する「公私混合所有制」では、国有企業の改革は成功しないとの見方を示した。
中国改革派経済学者と呼ばれる茅于軾氏(88)はこのほど、大紀元の取材に応じ、国有企業改革の問題点を示した。
現在当局が、民営企業が国有企業の株式を取得し、経営陣に民営企業を加えさせることで、国有企業が抱える過剰生産能力など様々な課題を解決し、赤字経営から脱却させようとしている。
同改革の初試みとして、8月中旬にネット通販最大手のアリババ集団や生命保険大手中国人寿保険など国内有名企業14社が、国有通信大手の中国聯通(チャイナユニコム)傘下企業に約780億元(約1兆3000億円)を出資し、約35%の株式を取得した。
茅氏は、この混合所有制度で国有企業の問題を解決できないと否定的な認識を示した。
「混合所有制で、国有企業の所有権が国にあるのか、民営企業にあるのかという問題だけに注目してはいけない。実に、中国の企業はオーナーを除けば、当局も企業の経営方針や運営に口を出すことができる。中国当局は株主でなくても、同様に国有企業の経営を左右することができる」。
茅氏は国有企業の会長や社長は全員、当局の省部級幹部であることを挙げ、国有企業の経営が当局のコントロールの下で行われていると指摘した。また「国有企業は単純の一つの企業ではなく、半政府半企業という混ぜ合わせたものだ」と話した。
同氏は、国有企業の改革を成功させるには、まず当局がその影響力を国有企業から除くことだと指摘した。「当局は国有企業から莫大な利益を得ているため、当局が国有企業への統制を止めることがないだろう」との意見を示した。
一方、当局は現在、多くの民営企業と国有企業に共産党委員会の設置を強化し、各企業に対していわゆる「政治的方向を正しくせよ」を要求している。
これに対して、茅氏は「この状況では国有企業の改革はなおさら無理であろう」と述べた。当局が企業に党の政治的方向に従わせることは、当局は共産党の利益を最優先していることを反映したと批判した。
茅于軾氏はこのほど、中国国内メディアに対して「財産の公有制度と権力の私物化などの問題を解決しなければ、国有企業改革は根本的に実現できない」との見解を示した。
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)
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