[ベルリン 25日 ロイター] – ドイツ連邦議会(下院)選挙でメルケル首相は4選を確実にしたが、極右政党の躍進で、連立政権樹立に向けた協議は複雑な任務となる見通しだ。
2015年の移民受け入れを巡る対応で批判を浴びたメルケル氏のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の得票率は33%と、前回2013年の選挙から8.5ポイント低下し、1949年以来の低水準を記録した。
ただ第1党の座は維持した。メルケル首相は次期政権を樹立する負託を受けたとし「われわれに対抗して連立政権を樹立することはできない」と述べ、クリスマスまでに安定政権を発足させることに自信を見せた。
これまでCDU・CSUと大連立を組んでいた社会民主党(SPD)の得票率は20.5%にとどまり、シュルツ党首は最大野党として政府と対決していく意向を示した。
このため、メルケル氏にとって有力な選択肢は、10.7%の票を得た中道・自由民主党(FDP)と8.9%を獲得した環境政党、緑の党との連立となる。
しかし、「ジャマイカ連立」とよばれるこの連立は移民や税制、欧州政策などの分野での根本的な違いから不安定なものになる可能性がある。
特にFDPとの連立は、マクロン仏大統領が提案するユーロ圏の統合深化にとって障害となる可能性がある。
選挙結果を受け不透明な情勢が数カ月は続くとの見方から、ユーロの対ドル相場
今回の選挙では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進し、12.6%の票を獲得したことが衝撃となった。極右政党が国政に進出するのは過去50年以上で初めてとなる。
業界幹部らは同党の躍進に警戒感を示しており、メルケル首相に迅速な対応を促した。
ドイツ産業連盟(BDI)のディーター・ケンプ会長は「メンバー企業は明確なシグナルを必要としている。ビジネスの場としてのドイツへのダメージを回避することが重要だ」と指摘した。
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