[シドニー 26日 ロイター] – オーストラリア準備銀行(中央銀行)のデベル副総裁は26日、同国の労働市場について、雇用は年初から大きく伸びているものの、市場にはなお「かなりの程度」の余剰資源(spare capacity)が見られると述べた。
同国では9月の雇用創出ペースが年率3.1%に加速。年間の人口増加ペース(1.6%)の2倍近い伸びを示し、1─9月の就業者数は37万1500人増えた。
しかし、失業率は5.5%前後で高止まりしており、不完全雇用率は過去最高水準に近い。
中銀はインフレ非加速的失業率(NAIRU)を5%と推定しており、これは労働市場に働き手の不足が生じ、賃上げに結びつくまでにはさらに需給が引き締まる必要があることを意味している。
デベル副総裁は「不確実性」と題した26日の講演で、中銀は余剰資源が緩やかに減少していくと予想しているが、賃金は必ずしも上昇するとは限らないと指摘した。
アナリストらは、経済は完全雇用状態で循環しているものの、賃金と労働コストの停滞が続くという世界的なトレンドにオーストラリアも追随するのではないかと疑っている。
中銀もこの点は警戒しており、副総裁は「余剰資源が最低水準であるにもかかわらず、インフレは抑えられているという、他の労働市場で見られる展開がわが国でも起きる可能性に注意を払っていく」と述べた。
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