[東京 30日 ロイター] – 安倍晋三首相とフィリピンのドゥテルテ大統領は30日に会談し、北朝鮮への圧力を強化することで一致した。
一方、中国の海洋進出を巡っても議論をしたものの、両国に温度差があることをうかがわせた。
ドゥテルテ大統領は会談後の記者会見で、挑発行為を繰り返す北朝鮮を非難。「度重なるミサイル発射、核実験に抗していかなければならない」とした上で、「すべての当事国に、テーブルに着くよう呼びかけている」と語った。
会談に同席した野上浩太郎官房副長官によると、両首脳は北朝鮮への圧力強化に向け、緊密に連携することで一致した。安保理決議の履行も確認した。
一方、安倍首相とドゥテルテ大統領は、中国とフィリピンが一部で領有権を争う南シナ海問題についても議論した。しかし、両首脳の間で何かしらの一致点があったどうかについては、「具体的なやり取りは控えたい」(野上氏)として明らかにしなかった。
中国の海洋進出を警戒する日本は、フィリピンと連携を強めようとしているが、昨年6月にドゥテルテ大統領が就任して以降、フィリピンは中国への批判を控えている。
このほか両首脳は、過激派組織「イスラム国」(IS)系武装勢力との戦闘で荒廃したフィリピン南部マラウィの復興を日本が支援することで合意した。安倍首相はドゥテルテ氏に「マラウィ市の解放は大統領の偉大な功績。東アジアをISの拠点とさせないとの明確なメッセージだ」と語った。
日本側は、総事業費約8000億円のマニラ首都圏の地下鉄事業に、約6000億円の円借款を検討することも表明した。
(久保信博)
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