[ブリュッセル/マドリード 31日 ロイター] – スペイン・カタルーニャ自治州の首相を解任されたプチデモン氏は31日、ブリュッセルで会見を開き、中央政府による12月21日の州議会選挙実施を受け入れると表明した。ただ、独立に向けた戦いは続くと強調した。
一方、スペインの高等裁判所は、プチデモン氏のほか州幹部13人に対し、証言のため11月2日と3日に出廷するよう求めた。プチデモン氏や他の州幹部に対する国家反逆罪や扇動罪の公判手続きを始めたことも明らかにした。
プチデモン氏はカタルーニャ州議会による独立宣言後、ブリュッセルに渡っており、出廷要請に応じるかどうかは不透明だ。
ベルガ通信によると、ベルギー当局はプチデモン氏の滞在中、同氏に保護を提供する必要があるかどうか検討しているという。
プチデモン氏はこれより先に行った会見で、ベルギーへの亡命は求めていないと言明。中央政府の「保証」が得られればカタルーニャに戻るとしていた。
スペインの憲法裁判所は31日、州の独立宣言の無効を言い渡した。
独立賛成派の指導部が混乱するなか、今週に入り、中央政府による直接統治への目ぼしい抗議活動は起きていない。
ただ、31日に公表された世論調査では、独立への支持が約3年ぶりの水準に高まったことが示された。10月16─29日に実施されたカタルーニャ州の公式世論調査によると、独立を支持する住民は48.7%と、6月時点の41.1%から上昇し、2014年12月以来の高水準となった。
プチデモン氏は会見で「カタルーニャの人々へ、長い道のりに備えるよう求める。民主主義がわれわれの勝利の基礎となるだろう」と訴えた。
中央政府は12月の選挙へのプチデモン氏の出馬を歓迎する意向を示している。ラホイ首相は、選挙で独立反対派の党が過半数を獲得し、独立への動きに歯止めをかけることを期待している。
一方、プチデモン氏は賛成派の勝利で独立への機運が再び高まることを願う。
欧州連合(EU)はスペインの結束を支持する立場を崩しておらず、EUが対話をするのは中央政府のみで、独立を巡る対立は国内問題だと主張。欧州委員会の報道官は31日「われわれの立場は変わっていない」と述べた。
アナリストの間では、カタルーニャ州を巡る対立が早期に解消される可能性は低いとの見方が出ている。
IHSマークイットのエコノミスト、ラジュ・バディアニ氏は「スペインは混乱の局面に向かっている。英国のEU離脱と同様に、1つの政治問題が他の全ての課題を支配することになるだろう」と指摘した。
また、カタルーニャ州住民の間で法的拘束力のある住民投票を求める動きが加速し、不透明感が高まる見通しだとし、来年初め以降、より具体的な影響が広がる可能性があるとの見方を示した。
カタルーニャ州では、既に1000社以上の企業が州外に本社を移している。同州の有力業界団体は中央政府による直接統治を歓迎しており、州内にとどまるよう企業に呼びかけている。
*内容を追加しました。
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