[ローマ 14日 ロイター] – イタリアは4日の総選挙で上下両院とも過半数を制する政党がない「ハングパーラメント」に陥り、1週間以上経過しても新政権発足の見通しが立っていない。
中道右派連合の得票率は37%で、単独政党としては反体制政党「五つ星運動」が32%を獲得したが、いずれも過半数を大幅に下回った。このため選挙で惨敗した中道左派の民主党(PD)が政権樹立の鍵を握っている。
しかし民主党は連立政権への参加に否定的な上、中道右派最大勢力の「同盟」と五つ星運動にも関係改善の兆しが見えず、政権樹立にはなお数週間かかりそうだ。
イタリアの政界の今後の見通しをまとめた。
<新議会招集>
次の節目は23日の新議会招集。上下両院の議長が選出され、政党間の連携が浮き彫りになる。五つ星運動と同盟は上下両院で議長ポストを分け合うとの見通しを示している。
報道によると、中道右派連合を構成する「フォルツァ・イタリア」を率いるベルルスコーニ元首相は同盟に対し、五つ星運動と手を組めば協力関係を打ち切ると警告した。
ただ、五つ星運動と同盟が議長選出で歩調を合わせても、自動的に新政権樹立につながるわけではない。両院議長が選出されると議会内における政党グループの結成が可能になり、大統領との協議に入る。
<大統領との協議>
マッタレッラ大統領は政治の行き詰まりを打破する上で重要な役割を担う。上下両院で議長が選出されると、大統領は4月1日の復活祭直後に各政党幹部との協議に入る。当局者によると、大統領府は合意形成に期限を設けておらず、協議を2度、3度と行う用意がある。
2013年の選挙では新議会招集から連立成立まで40日要した。
<政治的解決>
マッタレッラ大統領は当初は政治的な解決を目指す見通しで、選択肢は(1)民主党と右派連合の連携(2)民主党と五つ星運動の連携(3)五つ星運動と同盟の連携─の3つ。
このいずれにも収まらなければ新政権は議会で過半数を握ることができず、閣外協力が必要になるのではないかとの声がアナリストから上がっている。イタリアでは1963年と1976年にこうした政権が発足したが、いずれも短命に終わった。マッタレッラ大統領が新政権に少なくとも1年間は持ちこたえるとの保証を求めるのはほぼ確実だ。
<挙国一致内閣>
政治的な解決に至らなかった場合、マッタレッラ大統領はすべての政党から支持を取り付けて、政権運営目標を絞り込んだ、テクノクラートで構成する挙国一致型内閣の成立を目指すだろう。
五つ星運動と同盟はこうした動きを支持しない方針を示している。
<早期再選挙>
先の当局者によると、マッタレッラ大統領は夏前の再選挙の可能性を否定している。そのため政権樹立に向けた取り組みが行き詰まった場合でも、総選挙が行われるのは10月以降となるだろう。
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