陸上総隊が本格始動、3自衛隊の統合運用を強化

2018/04/04
更新: 2018/04/04

[東京 4日 ロイター] – 陸上自衛隊に新たに発足した統一司令部、陸上総隊が4日、本格的に始動した。全国に5つある陸自の方面隊を一元的に指揮するとともに、海上、航空自衛隊、さらに米軍との調整機能を担う。北朝鮮や中国の軍事力強化で安全保障環境が不安定化する中、3自衛隊の統合作戦を迅速に展開できるようにする。

陸上総隊は3月27日に発足し、4月4日に朝霞駐屯地(東京都練馬区、埼玉県朝霞市など)で小野寺五典防衛相が小林茂・初代司令官に隊旗を手渡した。小野寺防衛相は北朝鮮と中国の脅威に言及した上で、「陸・海・空の全自衛隊の力を発揮させることが(総隊に)課せられた任務。全力で取り組んでほしい」と訓示した。

とりわけ北朝鮮については、度重なる核実験と弾道ミサイルの発射に触れ、「南北首脳会談や米朝首脳会談に向けた動きもあるが、こうした事実も踏まえ、しっかりと見極める必要がある」と語った。

陸上自衛隊には北部、東北、東部、中部、西部の5方面隊がある。しかし、旧日本軍に権限が集中した過去の反省を踏まえ、これまで統一して指揮をする組織がなかった。小野寺防衛相は記者団に「旧憲法下の体制とは全く異なり、厳格なシビリアンコントロール(文民統制)が徹底されている」とし、過去の過ちを繰り返すことはないと強調した。

一方で、政府が「存在しない」としてきたイラク派遣部隊の日報が今年1月に陸自で見つかった後、大臣への報告に約3カ月かかったのは、文民統制に問題があるとの指摘がある。小野寺防衛相は「自衛隊へのシビリアンコントロールをしっかり機能させる私どもの役割をしっかり果たすために、今回の(日報の)件についてもしっかり説明していきたい」と語った。

(久保信博)

Reuters