[ワシントン 2日 ロイター] – 米国とメキシコ、カナダが合意した新たな貿易協定について、専門家は2日、締結国が「非市場経済国」と自由貿易協定(FTA)を結ぶことを禁止する条項が盛り込まれていると指摘し、中国がメキシコやカナダとFTA交渉を行うことが難しくなるとの見方を示した。
「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に盛り込まれたこの条項では、3カ国のいずれかが中国などの非市場経済国と自由貿易協定を結んだ場合、残りの2カ国は6カ月後に協定を離脱し、2国間の協定を結ぶことができるとしている。また、非市場経済国と自由貿易協定交渉に入る場合、3カ月前に他の2カ国に通知することを義務付けている。
トランプ米大統領は中国を経済的に孤立させ、中国企業が米国に無関税で製品を輸出する「裏口」としてカナダやメキシコを利用することを阻止したい考えで、この条項はそうした狙いに沿った内容となっている。
アメリカン・エンタープライズ研究所の中国専門家、デレク・シザーズ氏はこれについて、カナダやメキシコと中国との貿易協定に対する事実上の拒否権をトランプ大統領に与えるものだと指摘した。
日本や欧州連合(EU)との貿易協議でも同様の要求があれば、中国は世界の貿易システムから孤立する可能性がある。
カナダのトルドー政権は2016年に中国との貿易協定を巡る予備協議を行ったが、正式な交渉入りには至らなかった。
カナダ国内ではUSMCAの条項について、「カナダの独立を著しく制限する」として野党から強い批判が出た。
モルノー財務相はこれに対し、北米自由貿易協定(NAFTA)には締結国が理由にかかわらず6カ月後に協定を離脱することを認める条項が盛り込まれており、これと大差はないと反論した。
NAFTA再交渉でメキシコの民間企業を代表した経済団体CCEのトップは「メキシコは市場の自由化や世界で自由貿易を推進する国と連携する」と述べた。
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