中パ経済回廊、中国兵器の製造拠点に 中東にニーズ=NYT

2018/12/22
更新: 2018/12/22

中国は、中東の玄関口となる中パ経済回廊や欧州へ繋ぐ一帯一路の通過地点として重要地域とみなし、パキスタンとの関係を強化している。両国には、次世代戦闘機や兵器を共同で建造する機密の計画があるという。米ニューヨーク・タイムズが報じた。

中パ経済回廊は、中国北西部の新疆ウイグル自治区カシュガルからパキスタン南西部グワダルを繋ぐ3000キロの地域。中国は620億ドル(約6兆9000億円)を投じて、中東およびインド洋に接続する道路、鉄道、港湾、発電所などのインフラを整備する。

回廊にはパキスタンのグワダル港拡張工事も含まれる。インド洋を通過して北京や上海を繋ぐ海洋交易ルートを作成することで、物流の時間短縮化やライバル国の供給を妨害することも可能になる。

中国共産党政府は、中パ経済回廊や一帯一路は「平和的で相互互恵的なビジネス」と繰り返し主張するが、NYタイムズによると、両国は同地域で次世代戦闘機の建造、レーダーシステムの開発を行う計画がある。軍需品を求める中東諸国向けに、戦闘機や兵器などを製造販売する拠点に転換する狙いがあるという。

NYタイムズはまた、中国が、米国地球観測システム(GPS)に取って代わる、北京政府の衛星ナビシステムの野心的な開発についても触れた。 パキスタンは中国の北斗衛星システムの重要なパートナーで、通信ネットワーク構築のための地上基地局を多数建設している。 北斗衛星システムは、民間航空機の航行支援だけでなく、パキスタンの空軍機、船舶、ミサイルのガイドなど、軍事力を向上させる役割を果たす。

NYタイムズの報道では、両国が中パ経済回廊で、どのような戦闘機を製造するかは特定していない。中国当局は現在、ステルス戦闘機の殲20(J-20)と殲31(J-31)、そして軽戦闘機の殲10(J-10)の製造に力を入れている。

この10年、パキスタンと中国は低コストの多用途戦闘機FC-1梟龍(JF-1)の建造を協働してきた。中国官製メディアや関連国報道によれば、アゼルバイジャンナイジェリアイランミャンマーからの受注があるという。

グワダル港は、中国の潜水艦が補給のために寄港する可能性もある。中国は2015年、60億ドルで8隻の潜水艦をパキスタンに売却した。NYタイムズの記事は、アジア、中東、欧州を陸海路でつなぐ中国共産党主導の一帯一路構想は、中国の軍事拡張を促しているとも警告する。

マイク・ペンス米副大統領は10月、保守系シンクタンクの講演で強固な対中政策を示した。副大統領はスリランカが中国からの巨額負債で明け渡したインド洋に面する戦略港ハンバントタ港を例を挙げ、「まもなく拡張する中国軍の外洋海軍基地になるだろう」と述べた。

(編集・佐渡道世)