中国経済情勢が悪化している。国家統計局の発表によると、11月の中国の工業部門企業利益は前年比1.8%減少の5947億5000万元(約9兆5000億円)。2015年12月以来、3年ぶりのマイナスとなった。中国国内専門家は、経済成長率が安定したペースで鈍化していることに危機感を強めている。
中国国家統計局が27日に公表した統計によれば、1~11月までの中国の工業部門企業利益は前年比で11.8%増。1~10月までの同13.6%増と比べて、増長率が鈍化した。
国家統計局は、売り上げの伸びや生産者物価上昇の鈍化、コスト上昇が企業利益の減少の主因であるとしている。
ロイター通信や英紙フィナンシャル・タイムズなどは、景気悪化に伴い、来年中国の工業部門企業利益の伸びが引き続き鈍化するとの見通しを示した。
また、30日に公表予定の12月製造業購買担当者指数(PMI)について、ロイター通信(27日付)が27の分析機関に対して予測調査を行った。専門家は12月のPMIが、景気拡大と景気悪化の分かれ目である50を下回り、49.9までに低下するとの見通しを示した。12月PMIが49.9に確定された場合、2016年7月以来、約2年半ぶりに50を下回ったことになる。
国家統計局が11月30日に発表した11月のPMIは50.0だった。
国内外専門家の間では、2019年の中国国内総生産(GDP)の成長率が6.5%を下回るとの見方が広がっている。
中国国内メディア27日付の報道によると、中国著名経済学者で中国社会科学院学術委員を務める余永定氏は、中国GDP成長率が5%以下、または4%以下になった場合、「かなりまずい」と述べた。余氏は26日、中国社会科学院の新書『中国国家資産負債表2018年』の発売イベントに出席した際に発言した。
「現在最も危険なのは、経済成長の伸びが相当安定したペースで鈍化していることだ。このペースでは、5年もかからないうちに、経済成長の周期が終わるだろう」
中国人民大学国際通貨研究所の向松祚・副所長は16日、人民大学で行った講演で、自身が入手した「重要研究機関の内部調査結果」では、今年のGDP成長率は実際、1.67%であることが分かったと述べた。また、別の試算方法ではマイナス成長だったという。
国内景気悪化に対応して、中国共産党中央政治局は19~21日までの日程で経済会議を行った。会議では、中国最高指導部が「外部環境は複雑で厳しく、経済は下押し圧力に直面している」とし、国内経済情勢の安定化が最大の任務だと強調した。当局は、経済成長を支えるために、「大規模な減税を実施する」とした。
中国金融専門家の賀江兵氏は、「当局は10年前から、減税の実施を宣言したにもかかわらず、実行に移ったことがない」と、当局の減税計画に不信感をあらわにした。
(翻訳編集・張哲)
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