中国12月製造業PMIは50割れ 1年7カ月ぶりの低水準

2019/01/10
更新: 2019/01/10

中国経済の不透明感が強まっている。財新/マークイットが2日発表した、12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7と境目の50を割り込み、昨年5月以来1年7カ月ぶりの低水準となった。

中国当局が昨年12月31日に発表した12月製造業PMI指数は49.4と財新/マークイットよりも低かった。

財新/マークイットが発表する中国製造業PMIは中小企業を重点に置くのに対して、中国当局の製造業PMIは大企業や輸出を主要対象にしている。

台湾シンクタンク「中華経済研究院」の呉恵林・特約研究員は新唐人テレビ(本部=米NY)の取材に応じ、「中国本土の各産業の実態を示す経済指標はマイナス的なものばかりだ。一部の専門家はすでに、中国の経済成長率は実際マイナスになっていると言及している。実に数年前から、このような状況がみられた。中国経済の実態はこの数年間隠されていた。しかし、米中貿易戦の影響を受けて、この実態を隠すことができなくなった」との見方を示した。

製造業PMIは将来の景気動向を把握する「先行指数」であるため、各国政府や経済学者、投資家にとって重要な経済指数である。

中国の製造業PMIは、生産指数、新規受注、原材料在庫、雇用、サプライヤー納期の5つのサブ指数から構成される。

中国当局が発表した12月の中国製造業PMIをみると、生産指数とサプライヤー納期は50を上回った。しかし、新規受注、原材料在庫と雇用は50を下回った。また、製造業PMIに関連する経済指標、新規輸出受注は12月が46.6と2年半ぶりの低水準。

財新智庫傘下投資リサーチ会社、莫尼塔研究(CEBMグループ)会長で、チーフエコノミストを務める鐘正生氏は香港紙・星島日報に対して、「全体的に言えば、12月中国製造業は内需と外需も低迷している。企業は在庫の削減意欲を強めた。このため、製造業の生産が一段と影響を受けた。経済の下振れ圧力がさらに強まる」と述べた。

呉恵林氏は、中国経済は2008年から減速傾向にあったと指摘した。中国当局はこれまで大規模なインフラ投資を通じて、国内総生産(GDP)成長率を高水準に維持してきた。呉氏は、当局は刺激策によってもたらされた生産能力過剰の問題、不動産開発の過熱で多発するゴーストタウンの問題に直面するとの見方を示した。

呉氏は「共産主義の国家は皆、同じような政策を実施した。1950年代旧ソ連も同様な政策で、急成長を遂げた。中国経済も同じ道筋をたどるだろう。最後にバブル化し、巨額な債務が残るのみだ。今までバブルが弾けなかった理由は、当局が紙幣を大量に印刷して、債務を相殺したからだ」と発言した。

呉氏によると、バブル崩壊による政局不安を回避するために、中国当局は一部のバブルを突き破った。昨年、ネット上で個人間で資金を融通するP2P金融業者が相次いで倒産したのは一つの例だ。

アジアとヨーロッパ各国の株市場では2019年取引初日である1月2日、投資家が12月中国製造業PMIに嫌気をさし、各主要株価指数が下落した。香港市場のハンセン指数は午後の取引で前営業日比2.4%安となった。中国市場の上海総合は同1.1%安、オーストラリア市場のS&P/ASX指数が同1.5%となった。英市場のFTSE指数と独市場のDAX指数はそれぞれ1.6%安と1.16%安となった。

経済評論家の巩勝利氏は新唐人テレビに対して、今年1~3月期の中国経済指標が一段と悪化すると予測した。「1~3月期は、昨年米中貿易戦争が開始してから数えて第3四半期に当たる。中国経済を測るのに、(米中双方の交渉で)貿易戦争が今年3月以降、継続されるかどうかが重要となる」

広東省当局は昨年12月、PMI指数の公表を取りやめた。「貿易戦による中国経済への打撃を見てとれる。中国経済に占める広東省の経済規模が大きい。輸出は広東省の主要産業で、域内総生産(GDP)の45%を占める。米中双方の通商交渉で、中国当局は米側が求める構造改革を実行しなければ、中国経済指数のさらなる悪化が予測できる」と巩氏は指摘した。

(翻訳編集・張哲)