孔子学院には「安全保障上の懸念がある」英与党、報告書まとめる

2019/02/20
更新: 2019/02/20

中国共産党統一戦線部の出先機関で、海外の大学などに対外宣伝目的で設置される「孔子学院」。このたび、イギリス政権与党・保守党の人権委員会は、この機関に関する19ページの報告をまとめた。委員会は、中国の共産主義プロパガンダを世界中に広め、国家安全保障上の懸念だと警告した。

米国やカナダの評論家たちは、孔子学院は共産主義国家の中国の「ソフトパワー」宣伝ツールの一部であると長い間主張し、複数の大学は閉鎖を決定した。この危惧を英国議員が国会で言及するのは、今回が初めて。

人権委員会で委員長を務めるフィオナ・ブルース(Fiona Bruce)議員は、孔子学院について「非常に深刻な問題」を提起すると述べた。

「英国は語学教育や文化交流を歓迎し、奨励している」としたうえで、「孔子学院は、学問の自由、表現の自由、その他の基本的権利および国家の安全に対する脅威であるかどうか、再考が必要」とブルース議員は主張した。

ブルース議員は、英国の教育機関等と孔子学院との契約において、「透明性と説明責任」を求めると勧告している。

中国共産党政権によれば、孔子学院は中国語教育と文化波及を目的としている。世界中に約525の孔子学院があり、英国には29カ所ある。エディンバラ、リバプール、マンチェスター、ニューキャッスル、ノッティンガム、カーディフ、ロンドンカレッジなど主要大学に設置されている。ほか、高校には148の孔子課堂(クラス)がある。

共産党政権はイメージアップのため、海外で孔子学院を積極的に展開してきた。統括機関で中国教育部の下部組織・国家漢語国際推進指導小組弁公室(略称・漢弁)によると、2016年の予算はおよそ314億円。2020年までに世界で1000の教室展開を予定しているという。

2009年、中央政治局委員で李長春宣伝部長(当時)は、孔子学院について「中国の対外宣伝に重要な役割」があると明言した。歴史的な中国哲学者・孔子の名を冠することについて「孔子の名はブランドとして強い魅力がある。中国語を教えるときに、すべてが合理的かつ論理的に見える」と述べた。

後任の劉雲山宣伝部長(2010年当時)は人民日報の記事に「チベットや新疆、台湾、人権、法輪功など、中国の主権と安定に影響をあたえる重大問題については、積極的に国際宣伝するべきだ。海外の中国文化センターや孔子学院の運営をうまく行うべきだ」と書いている。

厳しい統制をそのまま海外へ輸出

世界中の孔子学院の教員は中国当局が募集し、雇用した人物。党への服従、敏感話題の回避、共産党の主張を代弁するなど、厳格な情報統制と中国法はそのまま教員に適応される。

ノッティンガム・トレント大学の人類科学教師タオ・ジェン(Tao Zhang)氏は、人権委員会に提出した報告書に「孔子学院は共産党体制の教育を海外に広げた。中国政府が直接コントロールし、中国の大学や高校と同じイデオロギー、宣伝の役割を担っている」と書いた。

漢弁のウェブサイトには、教師募集要項について「22~60歳まで。身体的にも精神的にも健康。法輪功やその他の違法団体への関与記録や犯罪歴のない人物」としている。

全米学識者協会レイチェル・ピーターソン氏は、ニュージャージーシティ大学孔子学院のイン・シュリ(Yin Xiuli)院長が、台湾、チベット、法輪功などの問題には触れていないと話したという。

孔子学院に対する懸念から、いくつかの大学では国際消費者機構(CI)との契約を停止または見直す。ミシガン大学は2018年12月、契約更新はしないと発表した。米国ではほかにもノースカロライナ州立大学、イリノイ大学、テキサスA&M大学などで閉鎖を決めた。

同年6月、オーストラリアのニューサウスウェールズ州教育担当ロブ・ストークス(Rob Stokes)議員は、孔子学院の透明性の欠如と「外国権力による不適切な影響」について懸念を抱いているとコメントした。

2018年2月、米上院議会情報委員会の公聴会で、米連邦捜査局(FBI)クリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は、同局が国内の孔子学院の数十カ所を調査していることを明らかにした。「私たちは孔子学院についての懸念を共有している。しばらく注視している」とレイ長官は述べた。

米中央情報局(CIA)の機密解除された報告書によると、中国当局は海外の大学機関や教授らに対して、金銭的なメリットと引き換えに言論の「自己検閲」を要求していると警告する。

(翻訳編集・佐渡道世)

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