中国軍機が3月31日、台湾海峡の中間線を越えて台湾側に入った。米国国防総省と国務省、実質の在台湾米国公館は、ただちに批判する声明を発表した。米専門家は、今後台湾への米軍戦略は強化され、台湾が最先端の兵器を所持することを支援していくと分析する。
蔡英文総統は31日、中国軍機が中台間の事実上の停戦ラインを越えて台湾側に入ったことに対して、強く非難する声明を出した。また、台湾軍に対して「挑発行為は直ちに強制的に取り除かなければならない」と命じた。
中間線通過の報道を受けて、米安全保障問題担当のジョン・ボルトン氏は4月2日「中国の軍事的な挑発で台湾の心を得ることはなく、民主主義を重んじる人々は決意を固めるだろう」とSNSに投稿した。また、台湾との外交的関係を肯定する「台湾関係法」に触れ、「われわれの台湾への関与は明白である」とした。
国防総省、国務省、米国在台湾協会は、中国軍機が中間線を越えたことに対して非難する声明を発表した。米国防総省デイブ・イーストバーン(Dave Eastburn)報道官は、「北京の一方的な行動は有害であり、何十年にもわたる平和と安定を支える枠組みを弱体化させるものだ。米国は中国に対して、台湾国民への安全保障、社会・経済システムを危険にさらす強制的な措置をとらないよう要請する」と述べた。
元米国防総省のアジア太平洋安全保障担当補佐官デレク・グロスマン(Derek Grossman)氏は、米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、米国が台湾問題に対する明確なメッセージを迅速に出したのは、初めてだとした。
「声明は、米国が台湾を支持し続けることを明らかにしており、台湾海峡を隔てた平和と安定を維持するために、中国と台湾が政治対話を続けることを促している」
グロスマン氏は今後、台湾海峡での米軍作戦は増加すると見ている。3月24日、米艦船の台湾海峡通過では、沿岸警備隊が初めて参加した。「つまり米国は台湾を守るというメッセージを中国に送っている」と分析する。
元米国防総省のアジア太平洋安全保障担当補佐官ウォレス・グレッグソン中将は、VOAの取材に対して、トランプ政権は過去の政権のように消極的な行動は取らないだろうと述べた。「F16Vモデルは台湾の防衛に有益であり、費用対効果は非常に高い」とし、台湾は購入すると見ている。
2016年に民主進歩党党首・蔡英文氏が総統に就任して以来、北京は台湾に対して政治的・軍事的圧力を強めてきた。
米国は、実質同盟関係にあることを示す台湾関係法(1979年制定)に基づき、台湾が自衛能力を確保するため防衛兵器を販売している。2018年3月には米政府官僚の台湾訪問を認める台湾旅行法が制定された。
ブルームバーグは3月22日、情報筋の話として、トランプ大統領は、台湾が米国から最新戦闘機F-16Vを購入することを黙認し、大統領顧問は台湾政府にエールを送っていると報じた。
蔡英文総統は3月30日、台北市内で開かれた在米ロビー団体・台湾人公共事務会の主催イベントで講演した。蔡総統は、米ポンペオ国務長官が米連邦議会で、中国共産党政権による台湾を孤立させる行動を極力阻止すると発言したことを取り上げた。そして台湾旅行法成立で示したトランプ政権の積極的な関与と、さらなる行動に期待すると語った。
台湾の自治は、共産党政権の求心力に影響する問題であり、北京はワシントンの関与に強く抵抗している。中国国防部の呉譲報道官は3月28日、台湾問題は中国の内政であり、外国の干渉は受け入れないとした。
(翻訳編集・佐渡道世)
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